斎藤氏の「著作」を望む
★★★★☆
世界史難関大で、確実に「取るべきところを取る」ための問題集。
総問題数は89と、類書に比べれば少ないのだが、テーマ史の項が充実しており(「アイルランドの歴史」「中央アジアの遊牧民族」等)、分野としての網羅性は高い。
また、充実した付録も本書の利点といえるだろう。
一例を挙げれば、「中国の地図」というものが付されている。
中国の都市名は時代・王朝を経るごとに変遷を重ねているが、南京であればその横に(建業・建康・金陵・天京)と記され、この点が一目瞭然の地図となっている。
総合して易しい問題ばかりとは言えないが、特に悪問と見受けられるものも無く、問題の選別には好感がもてる。
MARCH、関関同立以上の受験を視野に入れているならば、近年の傾向をつかむ意味でもオススメしたい。
難点を挙げるとするならば、解説・精講部分がやや簡素すぎる点であろうか。
紙幅の制限もあるのだろうが、殆どが基本事項を表などにまとめて貼り付けたものに終始してしまっている。
精講シリーズならではの、受験生の盲点・穴をつくような解説を記してほしかった。
何故、斎藤氏が本書の「監修」という位置づけなのだろうか。
石川氏の「日本史精講」の解説は質・量ともに申し分ないだけに、残念といわざるを得ない。