近作の紹介が中心:浅田彰との数学対談がオーモロー
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美術作品と一応分類可能な過去の有名作品の記録写真と、数学者や美術関係者等が寄せた文章が載ってます。(初期にはもっと別の作品もあった気もするが。)美術も音楽もミニマリズム作品の場合、結局は「スケール勝負」になりがちな傾向がありますが、彼の作品もどんどんその傾向が強くなってきてることが検証可能な本です。
やはり、読み物としては盟友・浅田彰氏と本人の対談が一番情報量が多くて、数学になじみがないとよく分かんない内容で取っ付きにくいかもしれませんが、カントの時代から連綿と続く「美学」と「崇高」の問題に自らを文脈化しつつ、きちんとマーケットで売れているところがこの人の凄いところでしょう。対談では音楽/美術のジャンルを横断して話してますが、カタログ自体は美術作家としての作品記録本です。(今年の都美での展覧会のカタログ企画だから、当たり前なんだが。)
上記対談では自らの作家としての歴史を振り返ってるので、そういった意味でも貴重な記録本かと。