クルマのある風景 (マイカ文庫)
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振り返ると、いつもそこにクルマがあった。移動する空間は突然の出逢いを演出し、男女の距離を急速に縮めたが、予想もしなかった別れの場所にもなった。かつてのクルマは、私たちを非日常へ誘う特別な乗りものだったのかもしれない。娘が亡くした父への思いを辿る「父のクルマ」、レストアした愛車を手放す青年に訪れた不思議な出逢いを描いた「レオナ」、クルマのある風景に収録されたショートショートは、誰の心の中にもある、ほろ苦いけれど、大切に仕舞っておいた記憶を呼び起さずにはいられないだろう。