高い志が感じられる熱い一冊。内部監査に従事するなら読んで損はない良書。
★★★★☆
三菱商事で7年間内部監査に従事し、(社)日本内部監査協会等の講師を務める著者の「これだけは知っておきたい内部監査」シリーズ2冊目の本著。ちなみに1冊目は「これだけは知っておきたい内部監査の基本」。
実務経験豊富な著者ならではの実践的内容です。
「分析的手続の実務演習」と「主要文書の書式」は、即実務に使えます。
全般的に監査初心者向けの内容で、これから内部監査を学ぼうという方にはおすすめの一冊といえます。また、ある程度の素養を持った方には、より高い視点での意識の再構築という側面で価値があります。
内部監査に対する崇高な志をお持ちでいらっしゃるようで、「実務」というタイトルではありますが内部監査人の心構えなどの礎となる部分に力が入っています。文中にくどいほど出てくる内部監査の意義は高い使命感に根ざした強い一文です。
内部監査人の職務とは、立派な監査報告書を提出することではなく、経営目標の達成、事業の継続、事業体の存続を危うくする異常な事態等の抜本的排除に有効な助言を提供し、実行に導いて実現させることにより、事業体の健全かつ継続的発展に貢献することである。
内部監査の目的をこの高いレベルに設定し実践し続けるために、必要な心構えから手法、手続きに至るまで一貫して崇高な志のもとに解説されており、何度も読み返して自身の気概を新たにできる良書と言っていいでしょう。多少独断による押しつけがましい箇所がありますが、これも高い志あるがゆえの言葉ですので、熱い気持ちで受け止めるのが肝要かと思います。