真言密教の精髄と言われる『理趣経』(りしゅきょう)。男女の欲望に関する肯定的な表現があることなどでも知られる。誤解されることも多い理趣経の本意を、高野山学林長、高野山真言宗管長をつとめた近代日本を代表する仏教学者、土宜法龍が一般信者に向けて語った講義録。大日如来が語る理趣経の世界と胎蔵界・金剛界の曼荼羅を結びつけて、密教的宇宙観をわかりやすく説き明かす。『理趣経』の漢訳、読み下し文、現代語訳もあわせて収録した。