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PDFが登場してから早くも20年が経過しました。作成元のソフトがなくてもファイルの印刷イメージが画面で確認できるPDFは、インターネットでの資料や説明書などの配布のほか、手持ちの書籍をスキャンして携帯端末で読み込む形式にもよく利用されています。
しかしPDFの素晴らしさは印刷イメージの表示だけではありません。Acrobat XIおよびAdobe Reader XIを利用すれば、内容の編集や再利用、レビューの共同作業、データの保護といった機能をフルに活用できます。本書は、Acrobat XIおよびAdobe Reader XIを利用してPDFを作成・活用する方法を詳しく解説しています。
Acrobat XIで大きく機能強化されたのが、PDFの編集です。印刷物と同じように捉えられがちなPDFですが、Acrobat XIを使えばワンタッチで通常のファイルと同じように編集できます。文字の追加や削除を行えば、テキストボックスの幅に合わせて折り返しも自動的に調整されます。また、文字列の置換もできるので、製品名や用語が急に変更になってもすぐに対応できます。
PDFはWordやExcelなどのOffice製品やブラウザなどから作成できますが、Acrobat XIでは作成されたPDFを元のOffice製品のファイルやHTMLに戻すこともできます。作成元のファイルが見つからない、あるいはPDF内のデータを再利用したいときに便利です。
PDFの閲覧に幅広く利用されている無料のAdobe Readerは、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末でも使えるようになりました。Acrobat XIでPDFをクラウドに保存すれば、同じPDFをさまざまなデバイスで閲覧できます。
パソコン用のAdobe Reader XIではすべての注釈機能が利用可能になりました。スマートフォンやタブレット端末用のAdobe Readerでも注釈の指定が可能です。外出先でチェックして疑問に思ったところをすぐに注釈のメモで残せます。クラウドにあるファイルなら、モバイル端末から指定した注釈もパソコンで確認できます。
Acrobat XIではPDFの編集だけでなく保護の機能も強化されています。Office製品からPDFを作成するときにファイル保護のパスワード指定ができるようになりました。重要な文書を公開する前に必要な保護の操作がまとめられたアクションも用意されています。また、文書へのサイン(署名)がより簡単になったほか、署名の依頼やその進行状況の追跡もできます。
そのほかにも、Acrobat XIには使いやすさを向上する工夫が追加されています。ツールバーのボタンのカスタマイズや切り替えが手軽にできるようになったほか、アクションウィザードでは連続して行いたい複数の操作の登録や編集が簡単に指定できます。またAcrobat Pro XIにはフォーム作成に便利なFromsCentralが付属し、豊富なテンプレートから選ぶだけですぐにフォームが作成できます。
本書は、Acrobatを利用したPDFの作成および利用方法を目的別に分けて解説しています。はじめから読み通す必要はありません。用途に合わせ、知りたい操作の部分からご活用ください。
(まえがきより)