前半から後半までユニークで結末はシリアス
★★★☆☆
暴露本としては異例なほどイラストも豊富で、読みやすい印象です。
私自身もかつて政府系コンサルタント会社や地方公務員を経験して
いますので、抵抗なくサクサク読み進んでいけました。
前半は「まあ、法人なんかどこでもそんなもんだよ」と思いながら
読んでいましたが、フィナーレには驚きましたね。まさかあんな結末
が待っていたとは。
ただ、退職金の指し止め等の嫌がらせは、いかにもねちっこい法人等
が好き好んでやりそうなことです。著者は順序を間違えましたね。会
社辞めてからゆっくり出版すればよかったのにと思いました。
私の場合は政府系の3セクでしたが、役員の体たらくぶりはこの本に
書かれているような感じでした。元々、天下りの彼らは仕事をするため
に法人には来ていない訳でして。
まず、それをしっかり理解することから始めましょう。
何だかんだ言っても、キャリア様にはまだまだ頭が上がらないのは法人
や公務員の世界です。でも、ホント辞めて良かったですね。女性なのに
勇気ありますよ。感動しました。
問題は何なのか。
★★★☆☆
著者の体験を基にして書かれており、この組織に問題があることは間違いない。しかし、それは、どういう問題か。序盤は、ホージンがいかに暇かと言うことが書かれているが、経理に行くと残業があると書かれている。仕事内容はたしかに、著者が書いている限りのものは無意味だけれど、今度は外務省の実態が無意味だと言うことが書かれていて、問題はホージンだけではないということになる。ということで、問題があるのは分かるが、どうすればよいか。最後の方で、著者は「ここの仕事は好きだった」という意味を一行であるが書いており、また、無意味な出張の最中に口説かれて、その誘いに乗りそうだったが、上司から彼は女癖が悪いという伝聞で嫌いになると読める部分がある。彼女は騙されていたのか、乗り気だったのか。
問題があることは良く分かるが、その一方で、収入は保証されていてもきつい残業で残業代の出ない人も現にいるし、そういう体験本もある。公務員は善か、悪か、悪だと言っていれば大抵許される世の中であるが、真面目に問題を解決しようと思うならば、そういう「単純化」にはほとんど意味がない。解決の糸口は示してくれなかった本である。ジャーナリズムとはそれでいいものなのか。
これを読んで貴方はどうする?
★★★★★
特殊法人の内部告発本。
どれだけ税金の無駄遣いをしているか、が内部の人間の視点から描かれている。
10年程前のベストセラー「お役所の掟」では、役所・役人心理について書かれていたが、
本作では、そういった堅苦しいことなく、面白く、可笑しく、彼らの仕事ぶりを描写する。
本作では国の役所の特殊法人が舞台になっているが、
どの地方自治体でも同様に、「財団法人」を持っている。
自治体の幹部が退職後、それら財団法人の役員に名を連ねている。
この本を読んで貴方はどうする?
本作で舞台の国の特殊法人を変えるのは大変だが、
まずは身近なところからはじめてみませんか?
自分の住む市町村のHPを見て、
公共施設(体育館・市民ホール・公園・バス地下鉄…)の
管理運営を行う財団法人わかるはず。
その役員名があれば、ググってみよう。ドコの誰か分かるはず。
その法人への委託料がいくらか問い合わせてみよう。
疑問があれば、自治体へ問い合わせのメールを送ってみよう。
情報公開を申請してみよう。
地元議員に働きかけて、陳情・請願をしてみよう。
調べた結果を、地元新聞社に手紙を書いてみよう。
貴方が行動すれば、何かが変わる。
読み物として純粋に楽しめる
★★★★★
この著者は格好をつけず、あからさまに楽しく暴露しているから、読んでいて疲れない。また、内容もこと細かく、そしてまじめな話から能天気な話まで、とにかくボリュームたっぷり。
これは伊丹十三に映画化してほしかった。
傑作です。
現在、著者はホージン摘発ジャーナリストとして活躍されていますから、そちらの仕事と併せて楽しまれたらどうでしょうか。
「鉄のオクタゴン」の一つの検証である。
★★★★☆
しょっぱなから"ホージン"とやらの存在と公金にたかる職員、学者、官僚、天下り、ひいてはこの国の社会政治の仕組みについて呆れると同時に怒りがこみ上がる。「鉄のオクタゴン」の一つの検証がここにある。この本の文体が内部告発的生生しさを和らげるようなユーモアにあふれたものであるので読み易い。従って、多くの人がこの国の悪しき実態を”楽しく”学習することができよう。