「集うこと」、「生きること」への思い
★★★★★
「異物」であるセラピストが職場や地域のコミュニティに入って、グループを作る苦心とその喜びが余すところなく記述されている。
見ず知らずの人を繋ぎ支援するサポートグループを、根気強くしたたかに継続し成長発展させていく過程は初心者にも勇気を与えるだろう。
そしてグループの中で体験する奇跡のような恩寵は、ファシリテーターならば痛いほど共感できるものだ。
グループの経験者ならだれでも覚えのあるようなメンバーが思うように集まらないこと、さまざまな困難な局面についてもきちんと書いてくれているのが好感が持てる。
本書のような実践例集は、「仲良しグループ」がナアナアで作ったものも少なくないが、本書はまったくそのようなゆるみを感じさせない。
一つ一つの実例に真摯さと絵空事にはないリアリティが感じられ、クオリティが高い。
「あとがき」で、編著者である高松氏の語る「集うこと」と「生きていくこと」への切なる思いに胸をうたれた。