シンプルな中世音楽
★★★☆☆
前テレビで十字軍時代の音楽というのがかかっていて、その中世の雰囲気が気に入ったので本CDを買ってみました。
学校で習うことはなかった十字軍ですが、本CDの音楽は、十字軍の音楽、といっても別に戦争の雰囲気というわけではなく、
たとえば軍団や戦乱をイメージさせるような雰囲気の曲はひとつもありませんでした。
1、11、17番の「王のエスタンピ」はバグパイプ風音色と太鼓のリズムのみのシンプルな曲。
2番は宗教的雰囲気を醸し出す歌で、3番は弦楽器のみをバックに女性が歌います。
5番はシンプルな音楽にのせた女声で、恋人の出征を思う哀歌です。8番、9番もこの曲と雰囲気が似ています。
6番はスコットランドを即、イメージしてしまうようなバグパイプだけの曲。
7番は音楽なしの男声、ラテン語で朗々と歌い上げます。10番、12番は「多声のコンドゥクストゥス」という類の曲らしいですが、
解説に「和声的」とあるように、たしかに少々童謡風なところがあって面白いです。
ブックレットには、唱法についてを含む詳細で専門的な解説がついています。
音楽は全体的に弦楽器、笛、バグパイプ系のものなどが多くシンプルで、哀愁ある雰囲気のものが多いです。
また、インストゥルメンタルよりも歌ものが多いです。原語では書いていないものの、訳詩はついているので、詩も楽しめます。
ポロロンと響く琵琶に歌をつけているような感じのものがいくつもあって中世世界に誘われます。
獅子心王と称されたリチャード2世(Richard II, Coeur de Lion)作の曲、12世紀の曲、吟遊詩人の曲・・・
なかなか聴けない昔の曲が揃っています。あまり楽しく聴く感じではないので個人的に少々星は減らしましたが、
もともとクラシックが好きな方などは、まったく抵抗なく入っていけるのではないでしょうか?
よかった
★★★★☆
十字軍に格別興味があったわけではなく、
単にグレゴリオ系の音楽を聞きたくて探して居た時に、
なんとなく目に付いたし、安いので買いました。
素人判断ですが、なんというか、屋外に居る感じ(笑)
で、とても気持ちがよい音楽だと思いました。
「私は禍いを残し」が、好きです。
中世音楽の入門CD
★★★★☆
デイヴィッド・マンロウの代表的な録音です。多くがEMIからの発売となる中、DECCAから出ている数少ないもの。マンロウ独特のはりつめた緊張感と刺激的なドラムが魅力的な、宮廷楽人(吟遊詩人)時代の音楽です。
マルカブリュ、フォン・デア・フォーゲルヴァイデといった代表的な宮廷楽人の作品やその他の舞曲は世俗音楽では残っている記録として最古のものの部類に入ります。その点では音で知るヨーロッパの歴史とも言えます。そこを無難な解釈で演奏しているマンロウですが、彼は中世ルネサンス音楽復興の代表的貢献者でありました。亡くなってから30年が過ぎる今でもこのCDと似たような企画で大きな成功を収めているものはありません。それだけに、この時代の音楽が盛んになった現在でも通用する歴史的録音と言って良いでしょう。
CD時代になってからの再発売はこれで数回目になりますが、まだ認知度が低いようなので少し説明をしましょう。歌詞の内容は、愛をテーマにしたもの、十字軍にまつわるものが中心ですが、カウンターテナーを多用し古い時代の雰囲気をよく出していると思います。楽器も当時あったであろう物を、説得力を持って扱っています。歌曲は伴奏を伴っていますが、流れるような合唱によるもの、リュートを伴いゆったりと渋い旋律を独唱で吟じるものなど、工夫を凝らして多様さをつくり出しています。日本語の解説書は多少不親切なところもありますが(歌詞の原語表記がありません)、このような知られざる作品を聴くにあたっては大変参考になるものとなっています。
素朴で美しい
★★★★☆
十字軍の騎士は、どんな音を奏で、どんな歌を歌ったのか?という素朴な興味から購入しました。軍歌調の勇ましい音楽でもなく、宮廷調の華やかな音楽でもない、素朴で素直な旋律がとても心地良いです。少ない古楽器を伴奏に1~2人が歌うというパターンの曲が多く、荘厳なグレゴリアンチャントと違い、人間の身の丈に合った、親しみ易さも感じました。人が寝静まった夜に、目を閉じて耳を傾けると、中世の世界にそっと降り立ったような気分になります。
なるほど
★★★★☆
中世の十字軍の時代の音楽をマンロウが楽譜を元に復元させた作品。十字軍の音楽はどういうものだったのかを知ることができます。
民謡・民族音楽っぽいものがあったり、日本の童謡見たいのがあったり、ルネサンス的な歌曲があったり…今の音楽は昔からの積み重ねなんだと実感しました。イージーリスニングとして聴くにはちょっと適さない曲もありますが、歴史的価値は十分にあります。