大つごもり・わかれ道(現代語訳)
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樋口一葉を読んでみようとは思うものの、言葉に躓いて挫折する人も多い。本書は的確かつ解りやすい現代語訳版。原文の息遣いはそのままに、読みやすい文章で最後まで楽しんで読むことができます。
路地裏から憂き世の暮らしをつぶさに眺め、貧しい人びとの心に寄り添って物語をつむいだ樋口一葉。代表作の中から年の瀬のドラマを描いた二篇を選び、現代語に訳して収録した。
「大つごもり」
神さま仏さまごめんなさい、わたしは悪人になります、なりたくはないけれど、ならないといけないのです――山村家の使用人として健気に働いていたお峰は、おおみそかの午後、病いと貧苦にあえぐ伯父一家を救うため主人の金に手をつけるが……
「わかれ道」
裏屋で裁縫をいとなむ姉御肌のお京。背が低いのを馬鹿にされている傘屋の吉三。歳の離れたふたりは日ごと語り合い、なぐさめなぐさめられ、姉弟愛のような親密な感情で結ばれていた。ところがみそかの夜、吉三は突如、お京から妾になることを告げられて……