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精神科医がものを書くとき (ちくま学芸文庫)

価格: ¥1,260
カテゴリ: 文庫
ブランド: 筑摩書房
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【セブン-イレブンで24時間受取りOK・送料0円!】 著者/訳者名:中井久夫/著 出版社名:筑摩書房 シリーズ名:ちくま学芸文庫 ナ16-1 発行年月:2009年04月 関連キーワード:セイシンカイ ガ モノ オ カク トキ チクマ ガクゲイ ブンコ ナ-16-1 せいしんかい が もの お かく とき ちくま がくげい ぶんこ な-16-1、 チクマ シヨボウ チクマシヨボウ 4604 ちくま しよぼう ちくましよぼう 4604、 チクマ シヨボウ チクマシヨボウ 4604 ちくま しよぼう ちくましよぼう 4604 著者は高名な精神医学者であるだけでなく、ヴァレリーやギリシャ詩の達意の翻訳者であり、優れたエッセイストとしても知られている。自らの研究とその周辺について周到な考察を展開した「知られざるサリヴァン」「統合失調症についての自問自答」「宗教と精神医学」や、学問的来歴を率直に記した「私に影響を与えた人たちのことなど」「わが精神医学読書事始め」「近代精神医療のなりたち」、精神科
凡百の物書き精神科医に警鐘を鳴らす ★★★★☆
中井先生はものを書く時に、次の条件を自分に課しています。
「文章のために患者を売らない」
「依頼原稿しか書かない」
頭の痛い精神科医はたくさんいるはずです。

本書の中で「近代精神医療のなりたち」の章の考察が興味を引く。
家康の医学顧問曲直瀬道三が「医は仁術なり」と規定し、
医学から宗教やまじないを排除した。

西洋でこれが行われたのは19世紀で、日本の方がずっと早いというものだ。

しかるに今はどうであろうか。医者と患者は、者=者関係だが
精神分析家と患者は、家=者関係で、
宗教家と信者の家=者関係にはなっていないだろうか
そのうちにぼくも老人になる ★★★★★
 この本の中では、『エピソード記憶といわゆるボケ老人』という文章が最も印象に残った。
 著者は、いわゆるボケということに関して、《「エピソード記憶」というのはその人だけの記憶で、要するに、「兎追いしかの山、小鮒釣りしかの川」ということ》であると述べつつ、次のような認識を述べる。
《いくら一般記憶が豊富であっても、それは百科事典と変わらないのであり、「エピソード記憶」が豊かでなければ生きた人間とはいいがたいのではないか。逆に「エピソード記憶」がしっかりしておれば、今の首相の名前くらい間違っていても、人格として欠けることがない、という考え方もあると思います。》
「一般記憶」に比べて、「エピソード記憶」はテストには馴染まない。だが、著者はあえて「エピソード記憶」を問題とし、治療にも役立てている。たとえ漠たるものに視えたとしても、重要なものは重要であるとする姿勢が窺える。
 エピソード記憶の重視は、著者の歴史を意識する姿勢と相まって、治療の場面で大きな成果を挙げているようにみえる。
「当時この年齢の方は女学校の制服が袴からセーラー服に変わる時代」であること、「旧制の第一女学校はお城の側にあり、お城の堀には蓮の花が咲いていることが多い」ことを糸口に、エピソード記憶の「煤払い」をする。また、「昭和の初め頃の陸軍軍人の服装」を描きながら、それにまつわる重要な記憶を、患者の心に呼び覚ましている。
『エピソード記憶といわゆるボケ老人』では、著者の歴史に対する意識は、治療の現場で、患者の人格の襞に迫ることを可能にし、他の場面では、各々の疾病の概念の歴史的変遷の考察に導き、或いは、日本と外国の医療場面での差異を歴史の側から明らかにする。この本に限らないが、さりげない言葉の端々に歴史への目配りを感じる。
 中井久夫の文章は、いずれも具体的でわかりやすい。しかも意外性に満ちているものが多く、思わず惹きつけられる。だがそれだけではなく、医療の現場とは無縁の人間にとってさえ、たとえばボケに関して、日々の指針となりうる記述が用意され、本質的な意味で、高度に実用的な文章でもある。そして、その実用的な記述の中に、当たり前のこととして「自尊心を再建していくこと」という句が置かれている。
知的なエッセー ★★★★★
同僚の医者向けに書かれたような率直な内容のエッセー。一流の精神科医がどんなことを考えて治療しているか垣間見ることができる。二流三流のタレントカウンセラーや似非精神科医のように本を売るために物事を過剰に単純化することなく、高度に複雑な精神という捉えがたいものを学術的でありながら直感的に理解しやすい形で説明してくれている。
ぜひお勧めしたい1冊です。 ★★★★★
精神科医としてたくさんの厳しい経験をされてこられた中井先生のこの本は、安心して読むことができます。統合失調症問答や精神科医療のあり方、危機と事故の管理など、精神医学の知識がない人間にもとてもわかりやすい文章となっています。ぜひお勧めしたい1冊です。
「人格は対人関係の数だけある」というサリヴァンの言葉も初めて知ってうなりました ★★★★★
 医療関係者を相手にした講演や、ミニコミ誌から取られてるものが多く、最近の本よりも、ずいぶん思い切ったことを書いているな、という印象を受けます。《躁うつ病者は、自己価値感情が株価のように乱高下しています》(p.137)というのはなるほどな、と。第二次大戦で日本の精神病患者の半数は栄養失調プラス結核で亡くなり、ドイツは餓死者こそ1/4だったが5万人を安楽死させている、なんてのもすごい話だな、と(p.173)。

 第二次大戦中に梅毒患者をマラリアに罹患させ、熱に弱いスピロヘータ・パリーダを殺すマラリア療法が生み出され、精神科でもっとも悲惨だった第四期梅毒がなくなって病院は清潔になったとか、抗精神薬は心臓を停止する時間を長引かせるための交感神経、副交感神経の両方を遮断する麻酔科の薬だった(p.175-)というあたりも、なるほどな、と。《自我というものまとまりがある程度のダメージを受けたとします。その原因が脳炎であろうが、何であろうが、ダメージを受けたために普通の対人関係ではやり通せないような人には精神科の固有のテクニックが必要である(p.185)》という言い方も素晴らしいと思います。

 クラスメートとか職場の同僚とかの大きさの人数が人間にとって一番処理しにくく、日本人で一番、対人恐怖症が発生するのはこの規模の人たちに対してであり、ネズミでも一つの檻に7-8匹ぐらいだとうまくやっていくが、それ以上増やすと30数匹までの場合はネズミは痩せていくなんても、初めて聞きました。この7-8人〜30数人という中間的な数の人間関係は、個体としても集団としても対応できないから、人間関係が扱いにくい、と(逆にネズミは30数匹以上だと集団一本槍の対応でいけるので太り始めるそうです、p.206)