清張鉄道1万3500キロ (文春e-book)
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社会派ミステリーを確立した松本清張は、トラベルミステリーの開祖でもあった! 清張作品に描かれた鉄道シーンを網羅した画期的な研究本。
等身大の刑事たちが靴の底をすり減らし、じわりじわりと事件の真相に近づいていく清張の推理小説には、当時の移動の主要な手段だった鉄道に乗る場面が頻繁に登場する。
JR全線を乗破した元朝日新聞記者が、現代小説320篇を読み込み、作中の誰が、最初に、どの路線に乗ったのかを徹底調査。デビュー作「西郷札」から没後刊の「犯罪の回送」まで、ちょうど100篇に「初乗り場面」が存在することをつきとめた。
初乗り距離の合計は、旧国鉄とJRが1万2072・9キロ、私鉄が1478・9キロ。
作品発表順に、鉄道地図に描き入れていくと、「清張鉄道」の広がりが鮮やかに浮かび上がる――。
「点と線」「眼の壁」「張込み」「地方紙を買う女」「ゼロの焦点」「波の塔」「わるいやつら」など名作、傑作の舞台裏がうかがえるファン必見好著。
(本書は、北九州市立松本清張記念館「第17回松本清張研究奨励事業研究報告書」に加筆したものです)