何度読んでもほろりとする漫画
★★★★★
この作品がフランスで最優秀コミック賞を取ったというのが嬉しいですね。「のんのんばあ」や茂の父の台詞がとてもいいです。こんなに昔のことを、まるで昨日起こったことのように鮮やかに表現できる水木先生の才能はすばらしいと思います。
水木さんこそ人間国宝
★★★★★
水木さんの作品には心の奥底にググッと迫ってくる何かがあると
感じるのは私だけでしょうか。
体ごとぶつかって自然を人間を感じまくった少年時代、
青年期の壮絶な戦争体験、戦後の凄まじい対貧乏サバイバル、
等々の経験から生々しく絞り出されてくる現実とその裏に見え隠れする
一見不条理不可解かつ摩訶不思議な「見えない世界」に
激しく五臓六腑が揺さぶられるからではないでしょうか。
水木さんにしか画けない漫画の世界は、様々な意味で示唆に富み
これからも日本に世界に読み続けていかれるべきものだと考えます。
水木さんこそ人間国宝に相応しい人物です。すべきです。国の宝です。
その数ある水木作品の中で、「総員玉砕せよ」と、
この作品「のんのんばあと俺」が最高傑作なのではと思っています。
やりきれない浮世、独特のペーソス、底抜けの笑い、
そして飄々とした逞しさが切なく切なく胸にジーンときます。
ここまでとはいきませんが、そうだったなぁ子供も大変なんだよなぁと
自分の子供時代を懐かしく振り返りました。
ちなみに伝令がつかまり決闘の場所日時を体に書かれてしまう
ところは大笑いしました。何曜日かの伝え方が・・・。
細かい内容の紹介は他のレビュアーさんが書いて下さっているので、
これ以上はふれますまい。
生活から暗闇が無くなった今だからこそ
★★★★★
昭和時代に生まれ育ったので、当然「ゲゲゲの鬼太郎」は主題歌も含め慣れ親しんでいましたが、今年のゴールデンウィーク、水木しげるさんの故郷である鳥取県に行き「水木しげる記念館」に立ち寄ったのは、たまたまでした。「ゲゲゲの女房」の視聴者である妹に何かお土産でも買おうと思い記念館に入ったのですが、そこで水木しげるさんの妖怪に対する強い思いに感銘を受けました。さらに、水木しげるさんが妖怪に興味を持ち始めた幼少期のことを描いた「のんのんばあとオレ」という漫画があり、しかもそれが国際的に評価を受けていることを知り、東京に帰りさっそく読んでみました。
のんのんばあは、私自身の祖母を思い出させる、慎ましやかで正直な昔の日本のおばあちゃんで、子ども時代の水木しげるさんに色々な妖怪の話をします。戦前の境港はきっと、当時の日本の他の地域と同じように、暗闇があちこちにある所だったのでしょう。妖怪の世界は迷信ではなく、現実のすぐ近くに間違いなくあるものだったと思います。また、この本に出てくる3人の女の子たちのはかない人生が、今よりもずっと厳しかった当時の生活を知らせます。
そんな闇の濃かった時代に、水木しげるさんの描く妖怪は、物凄い明るい面があります。また、小豆はかりが少年である水木しげるさんに言った「すべてのものが運命に定められた存在なのだ。」という言葉は、その後戦中・戦後の壮絶な時代を生き抜かれた水木しげるさんからの強いメッセージだと思います。
生活から暗闇が無くなった今だからこそ、のんのんばあの妖怪たちが多くを語るのだと思います。
国宝。
★★★★★
「のんのんばあとオレ」の内容については、もはや説明する言葉が見当たりません。
自分にとって”人生一番の書”です。
この限定版の一番幸せな事はサイズの大きさです。
水木先生の描いたひとつひとつの線を眺めてるだけで「ふはっ」となれます。
専用ケースにフランス版表紙、3000部限定でシリアル番号までが入っているため
何か国宝でも手にしたような気分になれます。
これは墓場まで持っていきます!
保存用ですね
★★★★☆
手にとって見ると、その大きさと厚さに驚きました。
カラーの帯もいいです。
大先生自身が気に入って、大量に現地版を購入したというのもわかる気がします。
この大きさで読むと、作品の迫力がにじみ出てきます。
日本版ではない装丁デザインもいいです。
中に入っているかなり厚手のポストカードもいいです。
残念なのは、3000部限定でシリアルナンバーが入っていること。
コレクション用としてはいいのですが、
もっと手軽に読みまわせるようにしていただきたかったです。
汚れるのもいやなので、保存用になってしまいました(だから星一つマイナス)。
最近は、過去の作品が文庫版でかなり出ていますが
他の作品もこの大きさで出すのもいいのではないでしょうか。