無限大の混沌
★★★★★
中学生以来30年振りに読みましたが、あらためてアナーキーさに驚きました。
大ヒットしたがきデカに伴い他誌も含めて殺到した執筆要請、それに因る過重労働を作家に強いる代償に何を描いても良いと免罪符を与えたかが如し凶悪な内容に、よくもまあ、こんな物を少年誌に掲載したものだと、改めて感心致しました。
金は有るが息抜きの遊びにすら行けなかったと思われる作者(当時の自画像は常に目が血走っていた)とスタッフが己が妄念をぶっつけた内容はキャバレー遊びをはじめ親父好みの下ネタを元にしながらさらにチャージを掛けた破壊的な物で、これを当時のまま現在再販するのは如何な物かと。いや、嬉しいのですが。
次々と出てくる迷言、妄言の数々が(「荒々しい男の海ごっこ」「花ヨメさんは痛い痛い、花婿さんはうれしいうれしい」、「お菓子を食べながら(エロ本を)見ると興奮がたかまるのだ。」.e.t.c.)、封印を解かれ記憶に甦って来たのには正直困りました。
尾篭な話を抜きにしても新田たつお氏を始め、どおくまん氏、画風を変える前の福山 庸治氏、魔夜峰央氏、等、現在巨匠と言われる錚々たるメンバーが山上たつひこ氏の影響を如何に受けたかを改めて窺い知れる価値ある再刊です。