絵本のようにもちあるき、したくなります。
★★★★★
収録されている種は、(関東出身・在住の私としては)子供の頃からよく見かけるものが多いです。とても馴染み深い、はずなのに、名前を知らないままにしていたいきものが沢山。そういえばこんな名前だったな、と思い出したり。見ていて楽しくなりました。
持ち歩き可能なサイズと、図鑑っぽくないおしゃれな装丁がいいです。中味も装丁以上に美しく、図版の中にお気に入りの絵が見つかりそう。それがそのまま好きないきものになってしまいそうですね。
とてもかわいい図鑑です。学研?!なのに?と驚きました。(失礼ですが。)
植物と動物の図鑑を見るのが大好きだった自分の子供時代を思い出しましたが、当時の私は子供のくせに(?)デザイン的な好みもうるさかった覚えがありますので、、こんなかわいらしいもちあるき図鑑を買ってもらったとしたら、うれしくて、いつも持ち歩く宝物になったことだろうなあ・・と、想像しました。
悪くはない。しかし・・・・
★★★☆☆
身近な生き物図鑑というのは意外に難しい。地域によって身近なものはかなり違うからである。日本全体を扱ったら、それこそ地域の生き物はほんの少ししか登場しなくなってしまう。
それにもうひとつは著者の不得意分野は意外に「ハズレ」てしまうことである。
そんな危惧が当たっていると思われるのは、私の専門の「クモ」の項目である。開く前に予想してみた。
まず、ほぼ北海道以外には生息していて個体数も多く目立つ「ジョロウグモ」は必ず載っているだろう。それに、次に屋内性で日本全土にいる「オオヒメグモ」だろう。網を張るクモであと一種を選ぶとしたら河川敷に目立つ「ナガコガネグモ」か「アシナガグモ」かな。網を張らない徘徊性のクモなら、まずどこにでもいるのは「イオウイロハシリグモ」か、「アサヒエビグモ」。人面蜘蛛などと騒がれてしまう「ハナグモ」でもいいかなと思った。
ところが、どれも載っていないのである。載っていた種類は「アシダカグモ、ジグモ、イエオニグモ、ネコハエトリ」。アシダカグモは関東以南の屋内性のクモである。ジグモは適切。イエオニグモは個体数が少なく、ふつうの家ではほとんど見かけることがない。駅構内にいるのを見かけるくらいだ。それにこのサイズのオニグモ類は似た種類があって正しい同定が難しい。ネコハエトリはハエトリのなかでは普通種だが、それならマミジロハエトリのほうがずっと普通にいるだろう。なんだかクモに関しては完全にツボをはずしているようだ。
ちなみにクモは昆虫よりもずっとふつうにみかける身近な生き物である。
クモでこの結果なのだから他の生き物についてもずいぶんハズしているのではないだろうか。私が期待するのは意外と知られていないのに子供目線でよく見ると見つけられるような面白い生き物なのだが。
もっともこの本が役に立たないおかげでちゃんとしたクモ図鑑の存在意義もじゅうぶんあるわけなのだ。これは勿論皮肉である。