韓国の現実を知らないものには大変受け入れやすい本
★☆☆☆☆
本書に出てくる史実(逸話)は大半は事実に基づかない解釈で塗り固められている。
なぜなら、歴史認識において韓国側から出てくる有利な観点から「逸話」を語り、さも事実のように引用しているからである。またニクイのは、日韓の「平均を装いつつ」も自己にたいする共感を生もうとしていることである。
著者は一次資料などの史実に当たることをほとんどせず、耳学問でこの本を書いている。そうした記述が多く散見された。それは韓国の様々な実態を研究対象として取り組んだことがあるものならば、誰もが気づく話である。取り上げる話題もかなり偏っている。
日本の贖罪史観に共感を持つ者は、本書に示される逸話を大変すなおに受け入れるだろう。なぜなら歴史とは、歴史観というフィルターを通して受け入れやすい逸話が、厳然たる歴史として定着していく過程だからである。
凝り固まらず、逃げもせず
★★★★☆
韓国ほど「旅」をすることが日本人にとって難しい外国は少ないと思います。
旅の醍醐味は土地と人の地層を自分の感受性と知識でほじくり返すことだと思うのですが、韓国では自分をよそにおいてほじっていく楽しみ方はできないからです。
土地と人は表立ってもしくは遠巻きに、「お前はその一員だ。」を突きつけてきます。
そのためなかなか韓国旅行は、
「グルメだ、エステだ、韓流だ。わーい」と「植民地支配への反省」との間に上手く落とし込めません。
ややもすると逆切れしてネット言説のような危険な方向へと向かってしまいます。
浅くなぞるか、とにもかくにも申し訳なかったを辿るのか、そんな二者択一にげんなりしてしまう旅行者にお勧めなのが、この1冊です。
著者は韓国で生まれ育った人にとっての、土地の堆積を韓国各地で丁寧に掬います。
それが本当に史実かどうかは、私には分かりません。
土地の人々にとってのその土地であったことです。
そのことを知った上で、自分の目で新たに旅を構築するためのヒントが本書にはつまっていました。
著者は高圧的に「あやまれ」とは迫ってきません。
ただ、日本人にとって懐かしいと感じられる韓国の風景を懐かしいと思うだけではなく、想像力を働かせて欲しいと願っています。
そうしたらきっと、より実りが多い旅になるからと。
凝り固まらず、逃げもせずの旅に出かけてしまいたくなりました。
想像すること
★★★★★
「みなさんが住んでいる街に言葉の通じない外国人が押し寄せてきて、一等地に
見慣れない家を次々に建て始めたら、どう感じるか。ほんの少し想像力を働かせて
ほしいのだ。」とまえがきに書いているように、韓国人の心情を想像するために
読む本。
「日本のおかげで朝鮮半島は近代化できた」といったような歴史問題はまた別の
問題として、韓国のふつうの人たちの気持ちを理解したい人が読むとよいと思う。
著者は、政治的に偏った感じはしない。現代の韓国人女性としての素直な気持ちが
表れている文章で好感が持てる。
韓国初心者は読んではいけない
★☆☆☆☆
怨念のこもった「反日」本である。最初の1行から都市伝説並みのエピソード満載。くだらないの語源:「くだらない」=「百済無い」(pp.10)、「市場では白衣の朝鮮人に墨汁をかけて回る日本人」(pp.32)etc.etc.
前書に「外国人が押し寄せ一等地に家を建てたらどう感じるか?」と問いかけているが、東京の超一等地に住居を構える外国人に日本人は反感を持っているとは言えまい。
ましてや電気・水道はもちろんの事、ろくな米も無い未開発国の田舎まで赴任した日本人教師の心情を思いやることはこの著者にはできまい。
「韓国人と日本人は、本当はもっと肩の力を抜いて話し合えるはず」というが「反日・嫌韓スパイラル」の火を点けて回っているのは誰なのか?「悲しい日本人(田麗玉著)」が可愛く思える。
読み方に工夫の必要あり
★☆☆☆☆
史実や伝承の裏づけを省き、昨今の韓国内情勢に棹差した作品
韓国を回られた方々はよくご存知かと思うが、現地の若いガイド
連中がしたり顔で 上から「歴史」を説くのに酷似したものに思えた。
複雑なものを複雑なままに描写・叙述する能力の欠如により、
折角のよい材料が損なわれている点が惜しい。
読まれる方は、取り上げられた地点の情報のみを参考にして
政治的言説の枠に囚われず、直接自分で街を感じて欲しい。