親子の関係の不可思議さ
★★★★☆
巻之二十二まで読んだ。相変わらずぐいぐい読ませる筆力は凄いの一言だ。今や親子の代理戦争の様相だが、出羽三山での凄惨を極める修行など、読んでいると少し疲れる。この手の読み物の醍醐味はスカッとするところだ。作者も迷路に迷い込んだものか、剣術大試合へ収斂していくことになるのだろうが、大安寺一松弾正の別作のほうが人間的で今は面白い。吉宗の前で、清之助が負けても勝っても、読後感はあまりいいものにならないように思われる。それとも佐伯泰英の隠し玉があるのか、金杉惣三郎の死後は、清之助が密命を引き継ぐのか、今は楽しみにして待つだけである。再生―密命・恐山地吹雪〈巻之二十二〉 (祥伝社文庫 さ 6-47)