最後に救われた
★★★★☆
お玉(細川ガラシヤ)は戦国大名の細川忠興の妻であり、且つキリシタンであったために人生について深く悩むことになります。わたしが知っていた歴史としては、関が原の戦いの際人質になるのをよしとせず自害した悲劇の女性というイメージでしたが、本作品を読むとそうではなく、お玉は死を選択することでようやく魂が救われた、悲劇ではなく高潔な生き方をした女性でした。
その人生最後の選択はお玉自身にとっての救いだっただけでなく、その後の歴史を考えてみるに関が原の西軍の人質作戦はこのお玉の自害により失敗に終わるわけですから、このほかに生じたかもしれないいくつかの悲劇を救ったのかもしれません。
ガラシャとキリスト教
★★★★☆
明智光秀の娘、玉姫は、裏切り者の娘として夫によって幽閉されます。
魂を救えるのは仏の教えではなく、キリストの教えでした。
やがて洗礼を受け、細川ガラシャと名乗ります。
キリスト教を禁じられるまでのわずかな間に、聡明な魂と教えは出会いました。
戦国の世にあっても自らの信仰をつらぬいたガラシャに賞賛を送りたいと思います。
イメージ通りの細川ガラシヤ
★★★★☆
細川ガラシヤは、戦国時代のヒロインとして余りにも有名である。彼女は、明智光秀の娘として生まれ、本能寺の変で運命は急変する。巧に戦国を生き抜く細川家。山崎の戦で明智の誘いに乗らず、見殺しにしてしまう。昨日の友は明日は敵。これが戦国である。光秀は、側室をもたないような当時では珍しい家庭人であり、その家庭で生まれ育った細川ガラシヤは、現代人に近いような倫理観を持っていたのではないか。この作品の中で、信と不信、という人を信ずるべきか、信じざるべきか、という疑問がガラシヤに付きまとう。ガラシヤは信じて生きていきたい。そして、キリスト教に出会う。細川ガラシヤを知るには最適な物語であると思う。又、ガラシヤに本能寺の変を知らせる細川忠興の様子や明智の姉妹の安否が途!!切れ途切れに伝えられ、そのタイミングによって、不信感を募らせてゆく経過がとても巧く描かれている。