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ファッションから名画を読む (PHP新書)

価格: ¥998
カテゴリ: 新書
ブランド: PHP研究所
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人物画やファッションが好きな人に ★★★★☆
☆マイナス1つの理由は全体的な構成の甘さ。着眼点を思い付いた順に書いてるのか時代を追っているのか、バラバラとした印象を受ける。また、繰り返しの文や叙情的文章が多く、せっかくの示唆を大衆的にさせてしまっており、残念。
内容は、人物の描かれた絵画を見るのが趣味の人(で、もちろん素人)には、絵を見るに当たりとてもよい指南書になっていると思う。 例えば、画家がなぜにあそこまでドレスのディテールを描き込んだのかという疑問に、様々な観点から明快に答えてくれる。この本を読んでから美術館に行けば、ドレスの生地がサテンか綿かなんてとこにも注目して絵を見るようになるだろう。
ファッションの美術史はそのままファッション史でもある。ファッションが時代とともにどう変わったのか、なぜ変わる必要があったのか、社会的政治的国際的文化的科学的背景をもとにこれまた明快に答えてくれる。
なお、絵画そのものは数多く、復元された衣装も数点、カラーで載っており、ページをめくるだけで新たな発見があり楽しいこと請け合いだ。
2010年京都国立博物館でハプスブルク家〜特別展(東京から巡回)を見た人には、特にオススメしたい。
絵画の見方が変わるような記述 名画も数多く掲示 ★★★★☆
美術館には赴き、掲げられている肖像画のモデルの表情に注目することはあっても、それが当時流行のファッションかどうかは、知識がないこともあり関心を持ちませんでした。
本書に示された数々の名画に隠された寓意やファッションの変遷を通して当時の世相や観念、社会の捉え方など全く及びもつかない観点から名画を見るという試みは大変興味深く受け止めました。

著者の深井晃子氏は、パリ第4大学大学院で美術史を学んだ服飾史家で、京都服飾文化研究財団理事、チーフ・キュレーターです。京都国立近代美術館でファッションに関わる企画を監修されています。
本書の表紙にも掲げられていますが、フェルメールの『青いターバンの女(1665)』の真珠の大きさが実際より大きく描いてあることには気づきませんでした。ターバンのウルトラマリン(群青)の原料であるラビスラズリーの希少性から話題が展開し、合成染料に顔料の大量生産によって色彩世界が大きく広がったことなど、ファッションだけでなく、美術史の奥深さを知る記述も多い書でした。数多くの図版はありがたいのですが、新書サイズのため、細部までは分かりにくいのが惜しいですね。

本書の内容です。
プロローグ ― 美術史が見なかったもの、
第1章 人を描く、服を描く〜肖像画とファッション
第2章 風俗画の愉しみ〜活き活きと生きた市井の人々
第3章 描かれた布
第4章 色は世につれ人につれ〜時代と色
第5章 ディテールは語る
第6章 近代パリ風景〜「見る/見られる」
第7章 印象派の画家たちとパリ・モード
第8章 コルセットをめぐって〜描かれた下着
第9章 絵画から消えたモード〜モード画の誕生
エピローグ ― もう一つの角度からの美術史
あとがき
名画に描かれた女性たちのドレス ★★★★☆
京都服飾文化研究財団のチーフ・キュレーターによる
西洋絵画に描かれたファッションに重点をおいて解説した本。
おもに女性のファッションについて書かれています。

ダ・ヴィンチ、フェルメール、ルノワールといった有名な画家たちが描く
名画に描かれた女性たちが身につけているドレスや小物。
時代ごとに移り変わるモードによって変化していく
女性たちのドレスや靴のかたち、流行の色。
傘、耳飾り、コルセットといった小物達。
解説にあげられる絵は、いずれ劣らぬ有名な名画がほとんどをしめますが
この本で中心に解説されるのは絵画自身の美しさよりも
その中に描かれる人物たちが身につける衣服や小物のことです。
絵画の中の人物と共に描かれる動物や小物が示す性質についての解説はよく見ますが
こういった形の解説を、服飾がテーマではなく
絵画をメインにした本でなされるのは珍しいので興味深かったです。
また単純に、描かれるドレスや女性たちの美しさも楽しめました。
ファッションと歴史との親密な関係 ★★★★☆
とても興味深い1冊でした。おもしろかったのは、ファッションの流行において、女性たちは華やかできらびやかに自身を飾り立て、贅の限りを尽くしたかと思えば、その後には必ず簡素でリラックスした格好をしたがる、という事が、何世紀も前から延々と続いている事でした。贅沢の後の反省?みたいな気分はなんだかちょうど今の時代と重なるような感じがして、技術は進化しても人間そのものはあまり進化していないのかも、と思ってしまいました。だからこそ流行はつくられてファッションは面白いのでしょう。
なじみのある有名な絵画も、描かれている人物像や身分、その身分を表す(顕示する)衣装、素材や技術と開発された時代背景について、描かれている柄のもつ意味などに触れてあり、まさに絵画を10倍楽しむ鑑賞法ではないでしょうか。
内容としては星5つでしたが、主題である絵が少し小さすぎて見にくかった点だけが残念でした。本のサイズからしてしょうがないのかもですが、、。
新感覚の芸術史。 ★★★☆☆
 筆者は、パリの大学院で美術史を学び、京都国立博物館等で開催されたファッション関係の企画展示の企画に携わったキュレーターで、京都服食文化財団の理事でもあります。

 昨今、美術史や絵画の含蓄を解説した本は多いですが、ファッションから歴史的な名画を分析するというのは非常に珍しいと感じます。
 ファッション肖像画の女性たちの服装からその時代の流行ファッションを分析したり論評する。女性たちの生活様式や文化を歴史的事実と比較する。面白いです。

例えば、
・日本でも人気のあるフェルメール「青いターバンの少女(別名:真珠の耳飾の少女)」などの作品では、モデルの女性が真珠の耳飾をしていますが、その大きさは、見るからに相当大きい。当時、天然真珠は非常に高価で、今のような養殖技術もなかった。国全体が富裕だった17世紀オランダでは確かに真珠が流行していたが、この大きさは誇張では?

・印象派〜後期印象派の作品の中で、パラソルの位置づけが、富裕層のオブジェから19世紀の後半になり、一般市民の実用品として移り変わっていることがスーラの「グランジェット島の午後」などに表現されている。

…などなど。

 絵画の写真が多く掲載されているので絵画についてはすぐイメージできるのですが、タフタ、サテン、クチュリエ、コルセット…などなどファッション関係の言葉が当然のように注釈なしで多用されるので、服の素材やデザインの名称について、普段意識して生活していない身にとっては、急にイメージが沸かず、よくわからないまままま読み進めてしまうのが難点です。