初めてオルガン
★★★★☆
ルー・ドナルドソンが初めてオルガンを起用したアルバムで、その後の”ソウル・ジャズ路線”はここから始まった。
そのお相手にこの7日後にBN第一弾リーダー作を録音することになるベイビー・フェイス・ウィレットを選んだ。
ベイビー・フェイスは、リーダー作自体も少ないし、サイドマンとして参加したアルバムが少ないため貴重である。
ジミー・スミスのようなテクニカルなプレイが出来るわけでもないし、リトル・リチャードみたいな髪型しててもロックン・ロールなプレイをするわけでもなく、意外と淡白なオルガンプレイを聴かせるタイプだが、ジミー・スミス以来のBNオルガン奏者としての
価値はあると思う。
そんなベイビー・フェイスと共にドナルドソンの初オルガンジャズ・アルバムをサポートするのが、これまたオルガンとの相性抜群のギタリストのグラント・グリーンである。
そもそもグラントじたい、ドナルドソンに見出されてBNと契約をすることになったのだ。
そんなメンバーを考えただけでもソウルフルでブルージーなアルバムであることが感じられそう!?
ドナルドソンはこのアルバムについてこう語っているらしい。
「今回参加している奴らは、長い間R&Bを演奏してきた連中だから、ソウルが何かをしっている。」
まさにその通りで、ハードバップなどとはまた違った「ソウル・ジャズ」が聴ける♪
ジョージ・ガーシュイン作の#1からソウルフルなドナルドソンのアルトが心にしみる♪
#2は、ミドルテンポのダウンホームな感じのジャズ・ブルースで、ウィレットのソウルフルなオルガンが聴きもの♪
太いトーンのグラントのギターもブルージーでかっこいい♪
続く#3は、ドナルドソンとグラントが多大なる影響を受けているチャーリー・パーカーのジャズ・ブルース。
お馴染みのリフをドナルドソンが軽快に奏で、ウィレットのグルーヴィーなオルガンが頼もしい♪
グラントのソロも、パーカーのジャズギター・バージョンと言えなくもない味のある流麗なフレーズが良い♪
#4は、タイトルから想像できる通りのノリの良い曲♪
当時の黒人の間で流行った”ワトゥーシ”というダンスの名前からして
ドナルドソンが黒人街のメインストリーム音楽=R&Bを気に入っているんだなってことが感じられる。
アート・ブレイキーやホレス・シルバーと共に「ハードバップ前夜」をバードランドで体験したドナルドソンであるが、彼はまた自身のルーツでもある黒人音楽=R&Bの血が流れていることも十分に理解していることであろう。
最後の#5も分かりやすいジャズブルースで、全体を通してブラック・ミュージックの素晴らしさを感じられるアルバムになっている。
「ジャズ」というよりも、「R&B/ソウルミュージック」として聴いた方がいいのかもしれない!?