スリッカーズの“Johnny Too Bad”やウェイラーズの“Srave Driver”をカヴァーとして取り上げているように、ここでは全面にわたってレゲエに対するアプローチを試みている。しかし、レゲエの素直なコピーというわけではなく、リズム面に関して、レゲエの重く引きずるようなリズムというよりも、もっと汎カリブ海的とでも言ったらいいのか、明るくて抜けのいいリズムが全体を支配しており、印象として非常に人なつこく取っつきやすい。アレンジに関して、取ってつけたような感は全くなく、レゲエ/カリブ海音楽が、この時点ですでに自分自身のものとしてきっちりと消化されているのがスゴい。彼はその後に発表される“Music Fuh Ya' ”や“Evolution”などの作品で、さらにこの路線を邁進することとなる。
現在に至るまで、単純にアメリカのブルーズを追求するという姿勢にとどまらず、もっと広汎な視野を持って、アメリカのルーツ・ミュージックの再構築を図ってきた人物である。レゲエはどうもねぇ・・・ という人にも、親しむための最初の取り掛かりとなる作品として良いのではないだろうか。