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影の地帯 (新潮文庫)

価格: ¥987
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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偶然が多すぎるのが残念 ★★★☆☆
松本清張の作品にしては、テンポが早く、ハードボイルドな要素が高い。ページ数が多いのにぐいぐい読ませるリーダビリティの高い小説である。

ただ、あまりにも偶然の力に頼りすぎている。最初の125ページで、小太りの男との偶然の遭遇が4回もあり、興を著しく削ぐ。これでは昼ドラである。せめて、空き地での遭遇と、湖での遭遇は、必然の遭遇にしてもらいたかった。そのためには友人の久野の使い方をもう少し工夫するとか方法はあったろうと思う。また、闇組織自体がよくわからなかった。この組織は金のために動いているのか、信条のために動いているのか、謎のままだったのが残念であり、まるで安でのヒーローもの映画の敵組織のようなのだ。

と、いうわけで清張の作品にしては欠点の多い作品である。が、そこらへんで目をつぶれば、エンターテインメント小説としての面白みは十分味あわせてくれる作品でもある。
松本清張ならではの筆力が一気に読ませる ★★★☆☆
文学賞の推理小説部門に応募する際に、気をつけなければいけないのは、神様視点にならないことだ。
探偵役の人は、事件の真相や真犯人に迫る際に、読者と同じ条件で情報を得なければならない。
神様にしかわからないはずのことを知っていてはいけないし、直感でアリバイを破ったり真犯人を突き止めてはいけない。

というのは、そんなことをすると、読者が興ざめするからだ。
逆に言えば、読者が興ざめしないのなら、探偵役は神様視点でもOKだし、直感で真相を暴いてもまったく問題ないのだ。

そのお手本が、この「影の地帯」だ。

主人公田代は、飛行機でとある男女に出会う。
すると行きつけのバーでも会うわ、仕事で訪れた木崎湖でも。
すると好奇心に駆られて、出会った小太りの男をつけ、彼が受け取った荷物を調べたりするのだ。

普通そんなことはしないし、これが新人作家ならば編集者が書き直しを命ずるだろう。
そんな話では、だれも読まないから。

ところが!
そんなダメダメの展開のはずなのに、松本清張の手にかかれば、筆を使えば、その不自然さが微塵にも感じられなくなる。
主人公田代と気持ちを一つにして、「あやしいヤツ! あの荷物調べてみよう!」なんて気になるのだった。

松本清張、つくづく話の進め方がうまい。
序盤の話の掴みがバツグンに巧い ★★★★★
 主人公のカメラマン・田代が、顔見知りの人間の失踪を調べていくうちに、日常の裏側で暗躍、跳梁する組織の謀略に巻き込まれていくストーリー。田代が、謎の小太りの男とあちこちで遭遇する出だしから、妙な木箱を追って信州に点在する湖(木崎湖、青木湖、野尻湖、諏訪湖)を訪ね歩く序盤の展開が面白く、ぐいぐいと話の中に引きずり込まれました。別件かと思われたふたつの失踪事件の線が、やがてひとつに収斂するあたりの展開も巧くて、読ませます。
 前半のバツグンの面白さに比べると、後半は話の勢いがやや落ちるなと思いましたが、それでも一気読みに走ってしまった。久しぶりに手にとった清張作品でしたが、旅客機内の運命の出会いを描いた冒頭から、急流を運ばれて行くようなスリリングな読みごたえを堪能させられました。
 初出・刊行年は、1961年(昭和36年)。『眼の壁』『ゼロの焦点』『黒い画集』『霧の旗』『砂の器』といった名作・力作が並ぶ、清張初期のサスペンス長篇。創作力がひとつの頂点に達した著者の当時の作品では、ノンフィクション『日本の黒い霧』(1960年)もおすすめ。
惹き付ける力が圧倒的 ★★★★★
圧倒的な緊張感で一気に読了。
主人公・田代がいつの間にか謎に巻き込まれ、
危機に陥っていく様にグイグイと惹き付けられます。
餌を蒔かれて、こんなに釣られるとは・・

惜しむらくは「飛行機の女」に対する執着や
「飛行機の女」の田代に対する想いに共感できないこと。
一会で忘れられない存在になるという感情が分からない。
物語上大切な線であるのだが・・・

ちなみに、私が読んだのは
「カッパノベルズ 昭和38年 第68版」だ。
初版は昭和36年。
挿画は 小松久子 の手になるもの。小松久子!
昨今物議を醸した渡辺淳一の『愛の流刑地』の挿画の方です。
この時代から松本清張の挿画を描き、今なお現役で
経済紙の連載小説挿画を描いてらっしゃるとは・・・
確かに『愛ルケ』挿画のタッチがこの昔から感じられる。
息の長い仕事をされる方なのだな。。
緊張感の高い作品 ★★★★★
700ページ程ある長編でしたが、最後まで得体の知れない何かに追われる主人公につられ、また恐怖感もあって、一気に読んでしまいました。松本清張氏の作品の中でも、特に緊張感のある作品であると思います。同氏の作品の中ではあまり有名でない作品のような気がしますが、信州の湖や森林などが目に浮かんでくるような自然描写的なところもあり、好きな作品の1つになりました。