全体に低年齢向け、ただマニアックな要素も含みます
★★★★☆
コミックに始まり、アニメ化、更には映画化と膨張し続けるケロロワールド。これはその小説版です。完全オリジナルの短編が4編収録されています。
小説であるにもかかわらず、先に発売された『公式ガイドブック』より、行間が広く、文字数が少なく、漢字にはルビがふられている等、年少のファンに優しい一冊です。ちなみに"地球"のルビは"ペコポン"ですのでアニメがベースになっている訳ですが、原作との違和感は皆無ですので、原作・アニメどちらのファンも問題なく楽しめます。
内容的にも、一編が短いし、ひねりが少なく行間読みや裏読みなどは全く必要ない上、アクション描写がメインで心象表現などもほとんど無いので、低年齢向きの作品と言えますね。ただ、『ケロロ軍曹』らしい、マニアックさやパロディ要素は随所に散見出来ますので、そっち系のファンの方もそれなりに楽しめるとは思います。
残念なのは、挿絵を吉崎観音氏が担当していないことですね。愛姫みかん氏も原作に近づけようとしてくれているのは判りますが、それでも違和感はありました。あと、発売のタイミングが少々悪く、一部のパロディネタがかなり"イタい"のですが、それはそれでまた違った面白さも醸し出しているので良しとしましょうか。
個人的には『走れメ〇ス』のパロディがヒットでした。あの作品をここまでストレートに堕とした点に、呆れつつもある意味感心しましたね。
大人が読むには物足りないものの、全編気楽に読める作品ですので、ケロロファンなら一風変わった表現の作品として楽しめると思います。