美しい写真と端的なコメント
★★★★☆
京都を舞台に、100近い坪庭の写真が収録されている。撮影及びテクストの執筆を手掛けるのは、京都で庭園や四季の花を撮り続けてきた写真家、水野克比古氏。
本書を読み終えても、坪庭をどう鑑賞すればよいのかという難しさはあまり払拭されないかもしれないが、それでも再び1ページ目に戻って、ページをめくりたくなる。短いながら、鑑賞のポイントを示唆してくれるコメント文もありがたい。
寺院の坪庭では、思想的な含意を持つ庭のデザインが多いのに対し、時代が進み、町家の坪庭になると、純粋に自然を愛でるデザインへとシフトしていくのが興味深い。
コンパクトなボリュームの中に、簡略化してエッセンスを凝縮した本書は、それ自体、一つの坪庭のような構成である。