現代的に進化したポルシェの内と外
★★★★☆
911は空冷だという意見は根強く、開発陣ですら暗に意思表示している程です。
しかし空冷を堅守していたらポルシェAGの今日の隆盛は無かったでしょう。
今日車の性能において燃費が重視されていることは間違いないですが、
同様に低公害・低排出ガス達成率も大きく取り上げられる様になりました。
これは世界的に地球温暖化に対処しようとする運動の影響でしょうが、
ポルシェは既に90年代から自主的に低公害化を押し進めてきたのです。
常に最良を求め進化を続けるポルシェ。
最新のポルシェは最良のポルシェを合言葉に世界中にファンを増やし続けてきました。
本誌はそんな革新&自己改革を止めないポルシェの水冷式への技術転換から各モデルの乗車インプレ、
内外装比較&装備テクノロジーの紹介、そしてポルシェのトップインタビュー等かなり力を入れた内容となっています。
特にヴォルフガング・ポルシェ氏の口から直接、
ポルシェ躍進の原動力となったヴィーデキング氏起用の舞台裏等も語られる為、
ポルシェ・ファンのみならず自動車史の上からも大変に意義あるインタビューと言えます。
美麗な写真が織りなす1ページ1ページは大変に資料的価値があります。
他の雑誌ではこの様なムックは発行してくれないでしょう。
ポルシェが何を考え車とファンに向き合っているのか、そこに本誌の価値があるのではないかと考えます。
惜しむらくはサスやエンジン紹介の項で専門用語が多過ぎることでしょうか。
注を付けてくれればまだ良かったのですが、結構分からない単語も多く別に調べる羽目に(^_^;)
その点だけ不満だったので星一つ減ですね。
ポルシェのラインナップ車種だけでなくポルシェの進化の過程、
企業としての理念にスポットを当てた濃い一冊です( '∀` )ファンなら是非!
21世紀の自動車のビジネスを理解する為の絶好の教科書
★★★★★
CG別冊は、どうも安直なつくりが多く、食指が動かないことが多く、
車種ごとのCG選集は、資料的な価値はあるけど、何度も読み返す本ではない。
しかし、この「ポルシェ飛躍の15年」は、素晴らしい内容です。
内容は、911の変遷をモデルごとに取り上げながら、ポルシェが、いかにその時代に
向き合ってきたかを検証し、カイエンなどの派生車種の誕生秘話、トップインタビュー、
などなど、、、
安易な株主重視主義が蔓延する中、議決権を持つ普通株式は、すべて創業者
一族が保有するという、前近代的な経営を貫き通し、今やVW株の31%を保有する、巨
大企業に変貌したその秘密に迫る。
これは21世紀の自動車のビジネスを理解する為の絶好の教科書です。
雑誌文化の衰退が危惧される中、さすがにポルシェ相手だと気合が入りまくっており、
オールカラーで見ごたえ、読み応え十分!!!値段はたったの2500円。
CG編集部の底力を見せ付けられた思いがします。