サンプルソースコードには期待しない事
★★☆☆☆
他のレビューにもある通り、解説の内容は非常に分かりやすく、ニューラルネットの基本的な概念を頭に入れるという点では良書だと言えるだろう。
しかし巻末のプログラムには不備が多い。
インデントがデタラメで読めたものではない、私はこれにかなり悩まされた。
その上内容にも不備があるので、いずれにしても出版社のWebサイトからソースコードを落とさなければならない。
もちろん公開されているだけありがたいとも言えるが、ネット環境無しで本を読んでいるときには少し困るだろう。
プログラムの内容もあまり綺麗ではなく、ほとんどの処理がmain内に書かれている典型的な「サンプルコード」である。
また、大学の教科書の悪例に漏れず、実際にプログラムを動かして初めて理解できる点もあった。
(にも関わらずデータ列が巻末と巻中で微妙に異なっており、躓く原因となっている。)
簡単に言明するが、奇数偶数の判定を誤差逆伝播法で学習するのはこのプログラムでは不可能である。
巻末のデータ列は、P76で示されているデータ列とは異なっている。これをP76のデータ列にして実行すると、学習は収束しない。
皆が良い評価をつけているので盲目的に購入してしまったが、プログラミングを中心に考えるのであれば、他の書を検討した方が良いかも知れない。
しっかりと構成されているので読んでいて気持ちいい
★★★★★
もともと薄い本ですが、付録部分が多いため、実質130ページほどの本です。
微分積分記号が大量に出てくるため、一見すると難解そうです。
しかし、この本は実に丁寧にツボを抑えながら解説しています。ちょっとわかりにくい箇所、難しそうな箇所ではちゃんとフォローが入ります。もちろん、完璧というわけではありませんが、難しそうなところになると安心させるような言葉や説明が入るため安心感があります。微分積分の知識があれば、ある程度はニューラルネットワークの理解が進むように書かれていると思います。大学で偏微分やフーリエ級数展開などを習っていれば、もっと理解が進みます。すべての読者を受け入れる本とはいえませんが、ある程度の数学的素養さえあればそれなりに読みこなせますし、その読みこなす感覚を楽しめる本です。
ニューラルネットワークはこれで
★★★★★
神経回路の図から始まり、誤差伝搬法やボルツマンマシンといった実際に利用されている方法まで書いてあり、非常に参考になる本です。
プログラムも載っているので、実用にも向いています.
巻末のソースをどうにかして欲しい
★★★★☆
分かりやすいです。
誤差逆伝播、という暗号みたいな言葉の響きが
何度か読み直していくうちに、なるほど、と分かってきました。
惜しむらくは巻末についているC言語のソースの字下げがめちゃくちゃなこと。
あれでは流れが分からず、目では追えません。
ただ出版元のサイトでバグを訂正したソースがメールアドレスを入力すれば
入手できるので、それを利用して動かしてみると動作がよく分かります。
全てを1冊で
★★★★☆
工学部の大学1・2年生向けの教科書。良くも悪くも理系の教科書という印象。
著者の狙いは、ニューラルネットとその学習アルゴリズム、さらにその理解に必要となる数理的基礎を含め、全て1冊で学ぶことのできる教科書を執筆すること。みごと狙い通りの出来に仕上がっていると思う。偏微分法、勾配法といった数学の諸手法、ボルツマンマシン、マルコフ連鎖といった統計物理学の基礎についても説明が加えられている。
各章の記述は簡潔で、文系の大学教科書に慣れ親しんでいた私には素っ気なく感じたほど。私は、高校文系数学もかなりあやふやだが、何とかギリギリ最後まで読み通すことができた。
実習を重視し、練習問題とその解答が載せられている。また、ニューラルネットの理解には自分で簡単なコンピュータプログラムを書いてみることが効果的だと思うが、本書には付録として40ページほどのC言語プログラム例が掲載されていて、大いに助けになると思う。