モダン・フォークでもカレッジ・フォークでもないユニークな個性は当時、アングラ・フォークと呼ばれた。政治がらみの物議をかもした名曲「イムジン河」も収録されており、彼らの原点が詰まった、過激かつ鮮烈な印象を放ち続ける傑作だ。(木村ユタカ)
フォークルは、加藤和彦、北山修、平沼義男、井村幹夫、芦田雅喜の5人組で1965年に結成されました。受験のために2人脱退してトリオになりますが、途中で芦田が復帰。「コキリコの唄」は芦田が復帰した4人組時代のライブ録音です。その芦田が渡欧し再び3人組となったフォークルが、2年間の学生フォーク活動の締めくくりに1967年夏に録音されたのが本作です。
伝説として語られているのが、ライブ音源をあわせても収録曲が11曲しかなく、当時のLPの標準的な曲数(12曲)に延ばすために穴埋めに作ったのが「帰って来たヨッパライ」。あまりによく出来た話ですが「帰って来た~」が最後に録音されたというのは間違いないようです。手売りでLPを持ち込んだラジオ関西の電リクで放送されたのが11月8日、これが大反響を呼んで12月25日にはメジャーの東芝がシングルを緊急発売。「帰ってきた~」のシングルは録り直しではなく、アングラ音源(インディーズ)だった本作のテイクが使用されました。アルバム「紀元弐千年 」にも再収録されています。
このアルバムは「帰って来た~」と「イムジン河」で語られることが多いですが、笑いのフォークルと言われた彼らの持ち味が発揮された「ひょうたん島」や、自分たちの解散も歌詞に盛り込んだ「雨を振らせないで」の楽しさ、ハーモーニーの美しさも聴き逃せません。
「帰って来たヨッパライ」の空前の大ヒットで時代の寵児となったフォークルは、家業のために辞退した平沼に代わり、端田宣彦を加えて1年の活動期限付きでプロデビューします。そんな数々の伝説を生んだのが、この「ハレンチ」です。