「SF+推理」の面白小説
★★★★★
「もしも、エイリアンが裁判にかけられたら…」、
そんなIFを描いた小説。
ある日、ブラジル沖の公海上に、宇宙船が不時着します。
現場に急行したのは、アメリカの空母、ロシアの潜水艦、
そしてブラジルのクルーズ客船。
アメリカ大統領の科学顧問、フランシス・ノビリオは、
天文学者クリータス・カリフーンや
ロシアの艦長たちとともに、
空母上で、エイリアン−−トソク族との
ファーストコンタクトに成功します。
やがて、トソク族の滞在先、
南カリフォルニア大学のヴァルカー会館の一室で、
地球人の惨殺死体が発見されます。
警察はトソク族の一人を逮捕、
前代未聞の<エイリアン裁判>が始まったのです…。
こうした有り得ない設定で小説を成立させるため、
作者は裁判制度について、
随分と綿密な取材を行ったことでしょう。
実際、物語もいきなり公判場面から始まるのではなく、
公判前の準備手続きについても描写しており、
「陪審員」の選任手続き
(エイリアンが被告ということに配慮したもの)が
描かれているところなど、
興味をそそる場面があります。
また、トソク族がなぜ表紙イラストのような姿に
なったかの進化過程についてや、
彼らの故郷、アルファケンタウリ恒星系の
天文学的特質などにも言及されており、
物語を成立させるための設定の緻密さが窺えます。
「法廷ミステリ」としての物語は、
エイリアンが被告であることから、
思いがけない証言や事実が明らかとなっていき、
読者の興味を惹き付けて止みません。
もちろん、最後には、
提示された事実から合理的に導き出される
「意外な真相」が待ち受けており、
ミステリファンを満足させることでしょう。
また、最後には、
SFならではの大胆な展開もあり、
SFファンも魅了することは間違いないと思います。
本作品は、「SF小説」であると同時に
「推理小説」でもあり、しかも、
「最高に面白い小説」だといえるのではないでしょうか。
犯人当ても楽しめる
★★★★★
SFとして面白いのはもちろんですが、真相を推理しながら読んでも面白いと思います。
後から考えてみれば、十分なヒントが出ていました。惨敗です。キーッ!
腰をすえて考えながら読んでみたい、SFミステリーの傑作です。
なるほど!
★★★★★
ソウヤーの作品は意外と好きで読んでます。その中でもこれはかなりの面白さ。
宇宙人による殺人事件。奇妙に切り裂かれた犠牲者の死体。その背後に隠された意味が段々解き明かされて、張りめぐらされた伏線が最後にパズルが組み合わさるようにピタっと答えになります。
推理小説が好きな方にも楽しめるのではないでしょうか。SFを普段あまり読まない方にもオススメです。
アメリカ法廷物のSF落語
★★★★★
という独自のジャンルが出来てしまった怪作。
人類は映画「未知との遭遇」のような遭遇を経て、宇宙人と知り合うことになる。初めはアメリカの国を挙げてのレセプションパーティーが開かれる(さも当たり前といった顔でスピルバーグが出席(笑))など、歓迎・友好ムード一色だったが、ある日その宇宙人が猟奇的な殺人事件に巻き込まれ、被疑者として逮捕された彼を救おうと弁護士たちは弁護を引き受ける。アメリカ法と陪審裁判は、はたしてどういう判決を下すのか?
アイデア的にはまさにTVゲーム「逆転裁判」のノリ。しかしあちらが法律的な内容が薄いのに対して、本作はアメリカ法と陪審制度に忠実な内容となっている。そのため弁護士の裁判へのブリーフィングや戦法、法廷での会話行程は実にリアル。しかし題材自体が突飛であるためか、真面目に裁判が進めば進むほど素朴なツッコミの念に襲われ、シリアスさがもたらす笑いの渦に引き込まれる。変化球のようで三谷幸喜の「笑の大学」やアメリカの正統派コントの王道を、緻密な知識を基盤に作られた実力派な作品。一見色物だが、英米法を気楽に学ぶとっかかりの小説として一番お勧め(笑)なのもいい。
ぬけている
★★★☆☆
地球を訪れるエイリアン。
その目的は・・・
と最後まで読んで気づいたが、核融合技術がありながらその理由はないじゃん!!
と思ってしまいました。
でもまあ、ただひたすら娯楽を求めるのなら良いかもしれません。
読みやすいですし。