とても興味深いが、再現性はどこまであるか?
★★★★☆
「君の会社は5年後あるか?」という書名からはすこしわかりにくいが、
組織戦略、特に「人材」が中心テーマの経営者本である。
読みながら、もし自分が学生や社会人一年生の頃に
この本に出会っていたら…と想像してしまった。
このワークスという会社で働きたい!と思えるだろうか。
たしかに魅力的な会社なのだが、この本を読むかぎり、
入社を躊躇するような、圧倒されるような会社なのである。
「優秀な人材だけを集める」というのが、本当に可能なのか?
80対20の法則(パレートの法則)は一体どこに行った?
そんな疑問をもちつつも、「すごい会社だ」と思いながら一気に読んだ。
著者の牧野さんだけじゃなくて、ワークス社員の文章なんかも途中で入っていて、
そういう意味で工夫がされていたし、とても読みやすい。
再現性がどこまであるかわからないが、
ビジネスマン・ほかの企業が学べるところも多い。
いろいろと考えさせられるビジネス書だった。
仕事とはなにか?問う内容
★★★★★
21世紀の会社のあり方、雇用のあり方を著者なりに問い、実践の結果を振り返った主張本。
優秀な人材ではなく、飛びぬけて優秀な人材を確保し、さらに成長させ、生きがい・やりがいを感じさせるには?、成果を挙げてもらうには?といった、ITベンチャーである著者の会社の経営録。大変に参考になった本でした。
答えのある課題をこなすのではなく、自分で考えることの面白さを問い、マニュアル思考でない社員を育てるには、どうすればよいか?を著者なりに、仮説を立て、実践させる。著者(経営者)自身も答えを持っているわけではなく、社員に考えさせてルールを創生していく。本来の仕事とはなにか?問う内容で、それが会社を育て、人材を育て、社会に貢献できるという信念が伝わってきます。
本来人間は、自分の能力を少し超えた課題をこなすことに喜びと満足を得る生き物という本質を突き、業務に落とし込んだ著者の理論は全く正解だと思います。
ソフトウェア技術者として大変参考になった本で、難しい内容ではないけれど、繰り返し読みたくなる本です。
これから優秀な人材は、大企業でもなく、外資でもなく・・・
★★★★★
内容は、本のタイトルとは異なります。
どちらかというと、著者の会社「ワークスアプリケーションズ」が
どのような理念のもと、どのような方法論で創業からこの十数年間事業を成功させてきたのか。
どのように優秀な人を集め、彼らのモチベーションを刺激する仕組みをつくったのか。
(「働きがいのある会社ランキング」で1位になる組織文化)といった内容になります。
ですが、他の会社でされていないような方法論で成功した事例として、
読むべき価値があると思いました。
日本で最も先進的な試み、先進的な文化をつくりあげているのではないでしょうか。
「先進的」という言葉が適切かどうかはわかりませんが、確実に「挑戦的」ではあります。
外資系に行って、日本の大企業に行って、結局不満たらたらという人はたくさん見てきたけど、
共通しているのは、「言われたことをやるだけ」とか「仕事がつまらない」とか・・・。
結局優秀な人間が満足できるステージがないか、
ステージがあってもそれを生かすマインドが育たなかったかなのか。
日本の慣習的とも言える(悪しき?)組織のあり方、人や仕事の捉え方に、
真っ向からぶつかった挑戦的な本だと思いました。刺激的です。
高学歴な就活生は、そこに満足のできるステージがあると思ってまずは外資やら大企業やらを
見るのだと思いますが、意外と活刺激的なステージっていうのは
こういう場所にあるのかもしれません。
好評レビューに惑わされてはダメ
★☆☆☆☆
表題と中身が完全に乖離した、自慢話エッセー。
話にならない。
タイトルを考え直されたい。
もしくは、「1年後・2年後……5年後」というビジョンを経営論・マクロ経済・ミクロ経済からちゃんと述べられたい。
そもそも自らの理念を述べるだけのエッセーで、このタイトルはないだろう?
今後最も注目していきたい会社!
★★★★★
「我こそは」と少しでも思う大学生ならば、著者の会社のインターンシップの試験をきっと受ける
であろう。
広い意味で本書の使命が採用活動の一環(←タイトルからもそう感じたのだが)であるならば、
目的は十分達成されている。
そのくらいワークスアプリケーションズが魅力的に描かれている。
うーん。自分があと○○年若くて、抜群の地頭を持っていたら・・・と悔しくなってしまうほどだ。
「優秀な人材だけで働くのはとても楽しい」
「すべての部署に、飛び抜けて優秀な人材ばかりを配した会社が、私の理想の会社の姿」
と繰り返し述べる姿に、劣等感とともに「そりゃそうだろうよ。それができれば苦労しないよ」と
一種の嫌悪感を抱く人々もいるだろう。
しかし、「トップオブトップ」とされる人材が、ひたむきにチャレンジできる仕事の環境を創り、
維持していくことがいかに難しいことであるかは本書を読み進めていけば分かる。
企業にとっての最優先事項である効率化や収益性追求の一面を、そのために迷うことなくざっくりと
切り捨てさえしながら、明日は今日よりもっと働きがいのある会社になれるよう、社会に貢献する
存在となれるよう、道を求め続けている。
その姿はとても力強く、美しく見えた。
次なる「優秀な人材」をどこから見いだし、どう育てて行くのか・・・ぜひ注目していきたい。