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生命にとって酸素とは何か―生命を支える中心物質の働きを探る (ブルーバックス)

価格: ¥903
カテゴリ: 新書
ブランド: 講談社
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   われわれを含め、地球上のほとんどの生物は酸素を吸って生きている。太陽エネルギーを利用して原始植物が光合成を行い、水から酸素を大量に作り出すことができるようになった結果、現在のような生物界が完成したといえる。

   酸素は反応性が高く、たいていの物質と化学反応する性質を持っている。木やガソリンならば「燃焼」、鉄などの金属は「酸化」する。そして、われわれの体内では、食物に燃焼と同じ反応を起こしてエネルギーを作り出し、生命を維持しているのだ。

   本書の前半では、酸素がどのような物質か、また生物が体内で酸素をどのように利用しているかを解説している。後半では、酸素の持つ裏の性質…活性酸素についての解説を展開している。それによると、なんと酸素は生命を脅かすこともあるのだという。老化、ガン、動脈硬化など、現代人にとって重大な多くの病気に、活性酸素が関与していると考えられている。このような一筋縄ではいかない酸素と生命の複雑な関係を、化学反応を中心にとらえ直し、わかりやすく解説している。

   化学というと敬遠したくなる人も多いだろうが、著者は「数個の記号を覚えれば、あとは数を8まで数えることができたら化学は理解できる」と提言している。全体的にかなり丁寧にかみくだいて書かれているので、食わず嫌いから卒業するいい機会になる。(冴木なお)