放射線治療物理学 (医学物理学教科書)
価格: ¥7,182
まえがきから抜粋
近年,放射線治療は光子線を用いた強度変調放射線治療(IMRT),強度変調回転放射線 治療(VMAT),画像誘導放射線治療(IGRT)などの高精度な照射技術の開発・普及,さ らに陽子線や炭素線を用いた粒子線治療,中性子捕捉療法などの開発によって,飛躍的に進 歩し,これらの高精度放射線治療はがん治療において重要な役割を果たしてきています。ま た,同時にこれらの高精度放射線治療を実施する医学物理士の必要性が社会的に高まってき ています。
このような状況の中で,わが国においては医学物理士を養成するための系統的な教科書は 皆無であり,他の先進国の英語で書かれた医学物理学の教科書や関係する国際論文などの知 識に頼っているのが現状です。今回,「医学物理学教科書シリーズ」の刊行にあたり,放射 線治療の根幹となる「放射線治療物理学」の教科書は,放射線治療に携わる医学物理士に必 要な基礎から応用までの系統的な内容を網羅することを目的に作成されています。執筆開始 から3年余りの長い年月を経過しましたが,執筆者の粘り強い努力と放射線治療に対する熱 い情熱で,これまでに類のない特徴とわかりやすい解説で,それでいて大学院レベルの高度 な内容を含んだ教科書となっています。執筆者はいずれも臨床現場や教育現場で豊富な経験 を持って活躍しており,単に教科書的な理論にとどまらず,臨床現場での品質保証・品質管 理に必要な実務的内容を豊富に含めてわかりやすく解説しています。
本教科書は,「放射線治療物理学」を理解するために必要な基礎的知識と 最新の治療技術を含んだこれまでにない特色のある本になっています。本書が臨床現場で活 躍する医学物理士,診療放射線技師や医師のみならず,学生,院生,ならびに放射線治療に 関係する人に役立つ座右の書となることを祈願しています。
2015年12月
編集責任者 荒木不次男 (熊本大学大学院)