Will & Grace: Season One [DVD] [Import]
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『ふたりは友達? ウィル & グレイス』は、2人の主人公のうち片方がゲイだということで、放送開始と同時に議論を巻き起こした。しかし、番組をヒットさせたのはスマートな脚本と一流の演技であり、政治的話題性ではなかった。ゲイの弁護士ウィル(エリック・マコーマック)と“ノンケ”なインテリア・デザイナーのグレイス(デブラ・メッシング)は、神経質で口の悪い都会派人間。2人はニューヨークの高級アパートに同居して、微妙ながらも息の長い友情を温めていく。そこに加わるのが、ウィルの友達でゲイ丸出しなジャック(ショーン・ヘイズ)と、グレイスのアシスタントでブッ飛んだ性格のカレン(メーガン・ムラリー)。『となりのサインフェルド』と同じく、『ふたりは友達? ウィル & グレイス』におけるユーモアの源泉は、身勝手な妄想、些細な事柄へのジェラシー、お互いの生活への脅迫的な干渉――つまり、人間の本質にかかわる部分だ。脚本家陣は、主役2人のキャラを通常の連続コメディに出てくるような好人物として描かなければならないと考えていたらしい(マコーマックとメッシングは素のままで魅力的なのだから、そんな必要はなかったのだけれど)。その結果、行儀の悪いことを屈託なくぶちかますのはジャックとカレンの役割になる。もちろん、そのお陰で彼らはとんでもなく愉快で強烈な魅力を持つことになった。ヘイズとムラリーは、バカバカしいシチュエーションや恥ずかしげもなく披露されるナルシスティックな言動にツッコミを入れながら、うまく存在感を示している。
『ふたりは友達? ウィル & グレイス』の典型的なプロットは、既婚のカップルまたは同姓のルームメイト同士を扱ったドラマからシナリオを流用したのではないかと思わせるものだ。ウィルとグレイスは、犬を買うことで言い争い、アパートの修理で自分たちの仲を確認し、2人とも同じ男に言い寄られていることに気づく。スタンダードな連続コメディーの題材だが、ゲイという要素が絡むことで、ひとひねりした味わいが生まれている。ウィルとグレイスの関係で障害となるのは彼らの性生活だが、2人はお互いの仲間が好きでたまらず、ますます離れられない様子。カルチャー・ショックをもたらした番組にしては驚くほど穏便な内容だが、ウィル & グレイス・マニアなら楽しめることうけあい。(Bret Fetzer, Amazon.com)