国民の97%が幸福と思っている国ってどこ? を知りたい方に
★★★★☆
世界第二位の経済大国という自信も中国に抜かれてぐらついています。
さらに年間3万人を超える自殺者、昨今の孤独死の問題・・・。
日本の幸福はどこにいったの、とお嘆きの際に一読をお奨めです。
GDPではなくGNH(国民総幸福)を国の発展の基準にしているブータン。
一体そんな国はどこにあるのだろうという感じですが、インドと中国の間に実在しているそうです。
1970年代という“つい最近”からの取り組みで、ここまで幸福になったブータン
日本がブータンをそのまま真似ることはできないかもしれませんが、
経済的発展以外の幸福の道を探すことが出来るという事実を知るだけでも、本書の意味があると思います。
日本のこれからの幸せのあり方を考えてみる、そんな前向きなきっかけになる本です。
ブータン流 国のつくりかた
★★★★☆
ブータンは、「国民総幸福」を求めて国造りを行っている点で、異色な国である。
本書では、そのようなブータンの様子について、様々な視点からコンパクトに紹介されており、
我が国とはあまりに異なるそのお国ぶりに、新鮮な驚きを覚える。
医療や教育を優先し、急激な経済発展を目指さないその姿勢は、日本を初めとした他国にとっても大いに参考になる。
もっとも、「幸福王国」という題名から予想されるとおり、現体制に不満を持っているであろう少数派の人々の意見は紹介されていない。
本書を読む際には、その点に注意する必要があろう。
幸福感とは??
★★★★★
人々がここまで幸福感を感じることが出来る国とはいったいどんな国か?
そんな思いで、手に取った本です。
チベット仏教の教えをベースにした豊かな精神性は、
近代化を急がなくても人々が幸せに暮らしていけることを
明示してくれています。
近代化を至上のものとして世界はここまで進んできましたが、
現在の日本にはなくなったものをこの国が教えてくれているような気がします。
良い事しか書いていない事にやや疑念は感じますが、
写真も多くあり、非常に読みやすい楽しい本です。
日本人には無理
★★★☆☆
1.内容
GNH(国民総幸福)という概念(p37)を提唱し、幸福な人間が多いとされるブータン王国の秘密(?)が書かれている本。
2.評価
いいと思うところもたしかにある。GNHの概念がわかるという意味では有益。しかし、ブータンのようになるのは無理だろう。自給自足をしますか?現代の便利な生活を捨てる勇気はありますか?伝統の名の下に良さそうな外国の習慣を受け入れない勇気がありますか?観光立国の可能性を捨てますか?今の日本人(ならびに、先進国の人)にはたぶんできまい。参考程度にとどめておくのがよい。以上のような感情をもてるほど影響は受けない本なので、イマイチで、星3つ。
さらに幸福の秘密が分かる1冊
★★★★★
今枝由郎のブータンについての著作を読んで、実際の暮らしがどうなのか気になって本書を手に取ってみた。写真が(カラーではないものの)豊富で、さらにブータンが分かったような気がする。本書ではズバリ、まず箇条書きで分かりやすく国の方針、様子、姿勢がまとめられ、そこに解説などが加えられている。(今はフランス国立科学研究センターの研究ディレクターという肩書になっている今枝由郎にも取材して、確認しているものもある)
国民の幸福については4つのガイドラインを中心に推進されている。それをみると、あまり国を大きくしない、利潤を追求しすぎない、伝統を変えないといったような方針が見て取れる。周囲の近代化した国を観察してから、徐々に近代化しているようなので、携帯が導入されたのも2003年とか。本書でもやはり、国というより、小さな村の共同社会をみるようで、互助精神が発達しているのが分かる。たとえば、ホームレスがいない(いたら誰かが面倒みる)とか、土地を持っていない人には国王がプレゼントするなど、とにかく助け合う。当然のように学校や教育費には一切お金がかからず、病院も無料(なのに、病気になったら、まず寺に行くという。祈祷などするらしい)、水道代も都市部以外は無料、など、とにかく儲けるという概念がないかのようだ。マツタケも豊富に取れるとのことで、本書の取材班のガイドさんが、儲けてやろうと考えて、栽培して出荷までをやったけれど、手間がかかる上に量が少ないとのことで、くたびれてやめたようだ(普通ならそこで他の楽な手段とか考えて大量生産を目指しそうだけれど)。
こうしたイメージから、文明とかけ離れた生活なのかと想像していたら、娯楽は映画でスターもいるとか、一夫多妻(ただし、財力のある男だけ)だとか、国中禁煙(ただし自室で吸うのはOK)だが、ガイドさんは外でも隠れて吸っていたとか、小さい子でも英語がペラペラとか、意外にも離婚が多いとか、決して窮屈ではない。
その他、男女の民族衣装、観光客への制限、国王には誰でも会えること、国技、女系社会などの詳細が分かるのだが、すごいな、本当かなと驚いたのが、「役人はワイロと無縁」というもの。なぜなら悪いことをしたら自分が一番分かっているので、しないんだそうだ。まあ、とりたてて、金持ちになって〜したいという気にならないような国の在り方だし、逆にお金がなくても暮らしていける、となれば、無駄なことをする気にもならないということなのだろうか。