インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

永遠のなかに生きる

価格: ¥1,365
カテゴリ: 単行本
ブランド: 集英社
Amazon.co.jpで確認
慈悲心を信じて生きる心豊かな生命科学者 ★★★★★
「生命は星のかけら」と教えてくれる生命科学者。命にかかわる著書を出されて、読者の心をゆさぶってくれた『永遠のなかに生きる』本書もまた私の心に響く一書である。単行本の文庫化で手軽に読めるところがいい。ところどころ散りばめられた絵(福井爽人)がまた爽やかで癒してくれる。温かい思いやり、人間に必要なのは、大げさに言えば「慈悲心」、これが人間には本来そなわっているような非科学的なことを言う生命科学者なる著者は宗教家であり、平和主義者だ。「地球上のどこにも闘いのない、思いやりに満ちた人間社会を」と念ずる人だ。生死の境をさ迷いながらも、自分を超えて人類のこと、永遠に続く「命への祈り」に満ちた著者を称えずにはいられない。
「人は人間を含めた生き物を殺すことにスリルを感じる性向をもっているのかもしれないのです。」 ★★★★☆
 生命科学者であり、長い闘病生活をおくっている著者の生命観を、静かな文章と福井爽人の画と共に味わう小品。著者の本は、これまでどれも最先端の生命の知識を優しい言葉で取り入れ、生や死、についての深い考えを伝えている。この本にもDNAや進化、生命の誕生の歴史などの話から、死とはなにか、教育とはなにかという話まで、これまで著者が語ってきたことが書かれている。これまでの著者の本を読んできた人には、余り新しいことはないだろうが、画と共に味わいながら「生と死」に思いを巡らせるのには手ごろかもしれない。短い文を集めたものなので、短時間でも読める。

 「あとがき」に著者は『般若心経を訳し、関連する本も書いて意欲が無くなった。しかし編集者(集英社)の勧めで古い原稿をまとめてみたら「私の生命観を読みやすく表現した一冊」になっていた。』と書いている。この本を良く現わしている言葉であろう。
 『般若心経を訳し、関連する本も書いて・・』と言うのは「生きて死ぬ智慧」と「いのちの日記」の二冊をさすのだと思われる。そうだったかもしれない。この二冊、とくに「いのちの日記」には著者の闘病生活と、神や生きることへの著者の信念の成立が鮮烈な文章で綴られ、あふれ出るものが感じられた。その後にまとめられたこの本には、古い原稿をまとめたというせいもあってか、各章が少し繋がりが少ないような感じも否めないではないが、そのようにあふれ出るものが過ぎたあとの、落ち着いた静寂が感じられる。

 静かな文章で語られると、「(ある人類学者の研究では)ヒトが動物を殺す動機は、動物が死ぬ瞬間に感じるエクスタシーであると結論づけています。」「人は人間を含めた生き物を殺すことにスリルを感じる性向をもっているのかもしれないのです。」とショッキングなことを書かれても静かにうけとめて考えることができる気がする。もしかすると、「殺すことが快感」という感情もないと、食べるための動物も殺せなくなったかもしれず、必要な機能だったかもしれないなどと。しかし、原初の動物には必要だったそんな機能も、複雑になったヒトではおかしな発動をすることもある、というのが現状だろうか。なぜおかしくなったのか、を考えることが大切なのかもしれない。著者と共に、静かに考えたくなる。
柳澤先生の死生観なのだろうか ★★★★☆
いのちの日記、生きて死ぬ知恵、と読んでこの本まで来た。
柳澤さん自身も書かれているように前著2作で執筆を終える予定だったのだろう。かなりお体も悪いようである。そんな方の本の悪口を書くのは偲びがたいが、やはり正直に書いておきたい。
生物学者としての死を教科書的内容から説明しようと試みている部分と彼女自身の闘病生活を通しての死生観とが混在しているように思えてならない。生きて死ぬ知恵での般若心経のまさに現代語訳と言うか科学者としての解釈の素晴らしさを感じていたが、この本はある種、いのちの日記の様に身の回りの不条理や理不尽さを元に筆が進んでいる部分があるように思う。
人間なのだから完全ではない、しかし素晴らしい家族や親族がいらっしゃる。もっともっと大きな柳澤さんを望んでしまうのは凡人の性だとは分かっているが、、、、
お元気な姿をもう一度見せていただきたい。そして更なるメッセージを御願いします。
これが最後の本なのですか? ★★★★★
夏に小田原の生命の星・地球博物館に行ってきて、
地球の誕生から現在に至るまでの展示を見てきたのですが、
この本を読んで、その時の記憶を鮮明に思い出しました。

ベンゼン環を使わないで、遺伝子のことを解説してくださった、
我々、素人にわかりやすく遺伝を解説してくださった柳沢先生ですが、
今回は、先生の著書を今まで全く読んでいない方向きにお書きになった入門書という感じの内容なので、僕も含めて、過去にずっと愛読者だったかたには、少し物足りないかもしれません。

僕も、正直、薄くて、簡単に読めすぎてしまったので、
物足りなさが残りましたが、
前半に、死のこと、家族のことなど、先生の横顔が盛り込まれているし、
遺伝のことも、本当に、ずばり私はこう考えているという要点だけが簡潔に書かれているので、人によっては、気分に応じて、何度か読み返したくなる一冊になるかもしれません。

今まで、柳沢先生の著書を読まなかった。知らなかった。
理数系は苦手、生物は、ベンゼン環で挫折したけど、NHKスペシャルの“地球の始まり”的な類の番組を観るのは、ちょっと好き。
文庫で出た“博士の愛した数式”を読んで、今度、映画も観てみようかな、と思っている方には、お勧めの一冊ではないでしょうか。

この本がひょっとして、柳沢先生の最後の著書になるのか、と思うと、寂しい気持ちでいっぱいです。