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見えない橋 (文春文庫)

価格: ¥480
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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死、失踪、静かな文体 ★★★★☆
死や失踪など、「社会からの消失」を扱った短編集。
それぞれの話には劇的な展開があるわけでもなく、静かに、
そして淡々と話は進んでいく。それなのに知らず知らず
引き込まれていくのは、各話が扱っている「社会からの消失」が、
身近に十分起こりうる内容だからだろう。本格推理モノにあるような
非日常的な内容(それはそれで面白いし、嫌いでもないが)からは
遠い距離にあるからだと思われる。普遍的な死と、そこに関わる人々。
人間の悲哀を感じる事が出来る作品集だ。
吉村昭さんの静かな文体が各話の雰囲気を一層引き立てている。
個人的には「消えた町」という一編が印象に残った。
因みにラストに収められている「夜の道」という作品は吉村さんが
大学生であった25歳の時に大学の文芸部の機関紙に書いた小説だそうだ。
人間の死と屍 ★★★★☆
この短編集を読みながら、著者吉村さんが、人の死を語るとき、その亡きがらについても触れていることに気付きました。

これはどうしてだろうと私は思いました。ひょっとすると、それは、第二次世界大戦を経験した、特に東京大空襲にわが身を持って接した、そしてそこでは、”死すなわち死体”を目の当たりにした・・・そうであろう著者にとってはごく自然な一連の思考なのかもしれないと考えました。「見えない橋」の作品の多くに対しては、”自然な”という私の表現は、”冷静な”あるいは”淡々とした”と置き換えてよいかもしれません。

余談ながら、なんとなく、昔ほんの少しだけ手にした内海隆一郎さんの作品を読んでいるような錯覚を覚えました。短編で、登場人物の日常の身の回りを巡る内容であるからかもしれません。

もしも似ているとして、これら両氏の短編作品はどういう類の小説であるかと私が問われ、私はなんと答えられるだろうか。そんなことも考えました。