今日、見に行くことができる国宝・重要文化財レトロ建築
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こんな建物が日本にあったのか!?
日本に残された至宝。3棟の国宝、41棟の重要文化財からなる傑作近代建築を巡る旅
海外の真似から始まり、やがて日本独自の伝統と融合していく近代建築が、明治以降、日本各所に建てられました。それは、国運を掛けた壮大な事業であったり、資産家の邸宅、明日の日本を支える人材を育む教育施設であったりと、その用途や規模、様式も多彩ですが、どれも日本の近代化の足跡です。そんな、レトロ情緒溢れる個性豊かな建築群の中でも、傑作と呼べるものは、重要文化財や国宝に指定され、現在でも目にすることができます。本書では、レトロ建築を20余年に渡り撮り続けて来た写真家・伊藤隆之氏が厳選した写真で、貴重な44件のレトロ建築の独特の世界観を追体験することができ、伊藤隆之氏自らが、その見どころを紹介しています。いま見ることができる近代建築の入門書としても最適な一冊です。
── 写真を撮り始めた頃、私の家から近くて建物が多い場所は「東京」で、休日のたびに足繁く通ったものだ。当時はいわゆる“バブル景気”の末期で、ガイドブックを片手に目的の建物に足を運ぶと、そこはすでに空き地になっていたり、解体用のパネルに覆われていることも少なくなかった。まさに解体が先か写真を撮るのが先かといった様相で、このままでは東京にある近代建築がすべて消え去ってしまうのではないかと、危機感を抱いたのを覚えている。 ──
── この本は、さまざまな危機を脱していまも残る珠玉の重要文化財の近代建築を、自分なりに40余り厳選したものである。長年、近代建築を記録してきた経験から、この建物は独自性があっておもしろい、この凝ったインテリアを見てほしいというおすすめの近代建築を、各分野から選び抜いたつもりだが、最終的には私のお気に入りの建物での構成になったのはご容赦いただきたい。
全国各地に残る“近代の生き証人”ともいうべき名建築に、この本を片手にぜひ会いに行ってほしい。そして、現代建築には見られないその時代の“豊穣な世界観”を堪能していただきたい。
伊藤隆之
─ はじめにより
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