政治はいかに語られるべきか
★★★★★
レビューのタイトルに書いたようなことは、
いろいろな語られ方があっていい、のだと思う。
ただ、
ここのところの新聞、テレビをはじめとする
メディアの政治の語り方が、
ワイドショー的な、センセーショナリズムに
すっかり堕しているように思う人は、
少なくないだろう。
とにかく、
くるくると変わる、このことがメディアのニュースソースに
なることはよくわかるが、
あまりにもどうでもいいことが多すぎる
(そういうのは、内田樹氏ばかりではない)。
政局、ことばの揚げ足取りに終始するのではなく、
この本は、政治家の人物を深く探ることによって、
はじめて、政治のありかた、政治家のありかたを、
浮き彫りにしてくれる。
池田勇人が、どれだけ庶民の懐事情に心を砕いていたか、
宮沢喜一、田中角栄、江田三郎などの政治家の素顔を
描きながら、どれだけ政治家という人たちが、
身を削りながら国のことを考えて
仕事をしていたのか、がよく伝わってくる。
取材対象に対して、
リスペクトのない記事は、消費されるだけの
駄文にすぎないのだろう。
ジャーナリズムの志の高さ、というよりも、
そもそもあるべきスタンスを思い出させてくれる本だ。