ジムニーをファッションやお飾りで所有していないと自負する方々へ贈る
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内容は非常に読み応えがあり、特にジムニー本来の持ち味である悪路走行性能に重きを置いたもので、
マニアから惜しまれながら終刊した本格四輪駆動車ジャーナル誌、「CCV」記事中の各モデル試乗記を始めとしたレポートの集大成である。
形やその外観の可愛らしさからジムニーに乗り始め、更に自分の愛車についてもっと良く知りたいと思ったり、
最近の車の軽薄なモデルチェンジやエゴ換えCMにウンザリし、世の常識と云われる俗習から解脱しているその道ウン十年の大ベテランまで、
必ずや価格以上の満足感と価値を見出せる一冊になると断言する。
ただ、「車高が高くてカッコいいし〜」とか「なんかギアがもう一本あるんだけど、使わないし、ま〜いっか!」なんて仰る方々には、
全然面白くも何とも無い不快な雑誌になるであろう事は火を見るより明らかであろう。これも断言出来る。
殆どカラーページも無く、デジタルビデオのキャプチャー画を使用した、少しシャギーが入る車両画像や泥だらけの下回りを撮影した画像など、
一般的な自動車雑誌とはまるで違う雰囲気が数ページめくっただけで読み取れる。しかし、その詳細な歴史紹介、そして編集人の本領が発揮される徹底的とも言える走行レポートや評価など、全自動車誌を見渡してもここまでのモノは少ないだろう。それも「ジムニー限定」でこの濃さなのだ。
自動車メーカーや広告代理店の顔色を伺い、悪い部分を悪いと本音を言えない(それとも、そもそもテキトーに書いてる?)
自称自動車評論家様が執筆する軟弱なエセ「じどうしゃ専門誌」が氾濫する中で、ジムニーというクルマに深くのめり込みたいと思う方には、
もうこれ以上の資料は現時点では無いと言い切ってもよい程の濃厚な専門書である。良書です。でも良薬は口に苦いですよ。
ジムニーのすべてがここに!
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筆者の二階堂氏はジムニー好きが昂じてスズキに入社、その後輸出サービスマンとして27カ国に勤務、エスクードの設計思考を考案。
退社後「RV4ワイルドグース」を設立、1995年には開発中のJB23Wの設計思想を考案し、デザイン会社とクレイモデルを作成しスズキに納入、一部が採用された・・・とのことであり、ジムニーに関する著書も多数、所有したジムニーは50台を超えるものすごい人物。
本書は硬派雑誌「CCV」「4×4MAG」等に掲載されたレビューを中心に再編集したもののようだ。
そんなわけで、おそらく数あるジムニー本のなかでも、一人の筆者によるものとしては最高レベルに到達した一冊と思われる。
前半はジムニーについてのエッセイ、スズキ小史等で始まるが、なんといっても圧巻は後半のジムニー試乗記だ。
歴代の軽ジムニー、小型車のほか、海外仕様・改造車・特装車にいたるまで、ものすごいボリュームである。この本ではじめて見るジムニーも少なくない。
巻末にはショップガイドも載っている。
巻頭のみカラーであとはモノクロ、ほとんどが文章のエッセイや情報、レビューであり、ビジュアルで楽しむという類の本ではない。
かなりマニアックな内容で、ジムニーへの思い入れが溢れている。
クルマ、ジムニーについてかなり詳しくないと、理解できない用語や文章もあるかもしれない。
それでもジムニーオーナーとしては是非とも蔵書に加えておきたい一冊である。
個人的には284ページに登場する欧州仕様のターボディーゼルカブリオレが非常に気になる。日本でも発売してくれないかなあ。