あらゆるレベルの金融機関にとって、ALM(=資産負債の総合リスク管理)部門および市場部門は、今後ビジネス競争が激化する中で、勝ち残りに必須な収益部門となる。

しかし日本では、この部門の専門家は大手銀行にしかいない(しかも、数少ない)のが実情である。
中小金融機関にとって、社内での人材育成にはOJTを含む地道な研修を要するが、地方には適当な研修機関がなく、また市販テキストは理論を極めるような内容ばかりで、実務に利用し易いものは殆ど存在しない。

本書はALM・市場部門の実務専門家が自ら執筆し、実際に金融機関での実務指導において用いられた教材を基に構成しており、有価証券投資やデリバティブなどの専門家を社内に持たない地域金融機関(地銀、第二地銀、信用金庫)にとって、運用と管理の両面で、業務運営に必要十分な財務理論と実務知識を 簡単に入手できる実践向けの情報源(実務手引書、研修テキスト)となる。


コンテンツ

ALM研修のフレームワーク

・運用責任者に必要な知識と修得ステップ
・ALM損益とそのた損益の区分
・ALM実践問題
・業としてのスペキュレーション

市場と相場
・相場の決まり方
・利食いと損切の発注


デリバティブ取引の実務

・金利スワップ
　・基礎項目
　・執行実務
　・財務理論
　・損益管理
　・時価計算
　・リスク管理

・オプション取引
　・オプション組込商品概説
　・基礎項目
　・時価計算とリスク管理
　・ディーリング実務
　・ロイター・ディーリング
　・オプション組込商品詳説
　・その他
　・オプション戦略図

・先物取引と裁定
　・先物取引の価格形成と裁定
　・裁定取引練習問題
　・業としてのスペキュレーション
　・円短期金利先物での裁定取引

・総合練習問題
　・理解度チェック問題


財務理論と市場リスク管理

・財務理論
　・財務理論
　・基礎マスター練習問題
　・基礎マスター練習問題　解答

・リスク管理指標
　・金利感応度とVaR

・VaR
　・VaRその1
　・VaRその2
　・リスク管理票の例


リスク管理体制整備

・リスク管理の体系
　・リスク管理体系理論

・金融検査マニュアル
　・検査マニュアルについての疑問点
　・リスク管理体制に関する指針概説
　・Q&Aその1
　・Q&Aその2
　・トレーディングの扱い
　・時価会計について
　・マニュアルへの対応まとめ


銀行のディスクロージャー

　・ディスクロージャー概論
　・ディスクロージャーに見る市場リスク管理

付録　低利ざや時代の運用革命
　
　運用難への対応
　・「運用難」という問題の基礎認識
　・本質的な収益とは
　・戦略的ALM

　戦略的ALMにおける運用とは
　・運用概念の転換
　・市場運用、市場調達の捉え方
　・投資行動メニューの多様化

　金利上昇期の運用パターン
　・はじめに
　・金利相場シナリオ
　・投機パターン

　オプション売の妙味
　・オプション売却の使い方
　・オプション売却のタイミング
　・オプション売却の上限（ポジション枠）　

　対顧客金利の水準決定

　戦略的ALMとは
　・戦略的ALMの定義
　・戦略的ALMと伝統的ALMとの対比

　バーチャル診断事例に学ぶ運用革命
　・事例1　営業店の業績評価基準
　・事例2　ローンのヘッジ検討
　・事例3　貸出プライシングの根拠
　・事例4　運用手段の選択
　・事例5　BPVと認識すべき市場金利
　・事例6 金利相場観の評価