インターネットデパート - 取扱い商品数1000万点以上の通販サイト。送料無料商品も多数あります。

エバーグリーン (双葉文庫)

価格: ¥650
カテゴリ: 文庫
ブランド: 双葉社
Amazon.co.jpで確認
思春期終焉 ★★★★★
田舎の中学校に通うミュージシャンを夢みるシンと漫画家を夢みるアヤコの切なくもキラキラ光るようにきれいな物語だ。
2人は恋人未満友達以上の関係で卒業式をむかえる。そこで「十年後の今日、三月十四日、ここっ」でお互いに夢を叶えてまた会うことを約束する。 そして十年がたち、約束の日の二ヶ月前から物語は進展し始める。

あの頃あんなに輝いていた夢と残酷な現実。
夢と現実を抱えて暮らす二人の心に浮かぶもの…
そして新しい出会いと決意。
このすべてが透明感のある文章と切ない、それでもきれいなストーリーで表され、読んでいてとても癒されました。ありがちな少女漫画みたいなストーリーだと思うかも知れませんが、ストーリー展開や人間関係、特にラストのシーンはただのハッピーエンドではありません。作者さんはほんとに『すげー』人だとおもいます。そしてこの本に出会えてよかった。


あの日、アヤコと別れた後に感じた、風で翼がふくらむ感触のようなものを、今も思い出せる。憶えたまま、すべて持っていくのだ。
(本文より)


みなさん是非読んでみてはどうでしょうか。
その緑は、よりみずみずしくなる。 ★★★★☆
読み始めは、著者の傑作「檸檬のころ」より、
ちょっと甘めだなーと思った。特に、序盤の中学生時代。

リアリティのある絶妙なセリフ回し、
切なさがいい感じにまざった心象描写。
共感しやすいのに、予定調和にならない著者の得意技のキレがいまいち。
なんだか、昔の少女漫画っぽいな。
そう思ったけど杞憂に終わった。
やっぱり、豊島ミホはそんなんじゃ終わらない。それは「フリ」だった。

憧れ、片思い、いっしょに下校、そして再会の約束。
作者が書きたかったのは、
そんな少女漫画的ハッピー?エンドの、その後の世界だ。
だから、序盤の少女漫画的甘さが効いてくる。

少女時期を超えても、少女性を保てるか。
青春時期を終えても、青春性を保てるか。
この小説が出すこたえは、
「保てる」だし「捨てるべきではない」だし「捨てられない」だ。
挫折、あきらめ、現実を見ろ、等々。
大人の通過儀礼をすぎても、枯れない感情があることを描くだけでなく、
その「青春性」を更新させていく。ありがちな成長物語を否定するし、
昔はバカだったねー楽しかったねーといった同窓会的郷愁に陥らない。
エバーグリーン。
主人公は緑のままなのでない。より深くみずみずしく繁っていく。

ちょっとほめ過ぎかと思うけど、
豊島ミホ、やっぱいいっす。
十年後の約束 ★★★★☆
中学校の卒業式の日に、シンは超有名ミュージシャン、アヤコはマンガ家になって「十年後の今日、ここ」とまた会う約束をする。中学時代に付き合っていたわけでもなく、ただの友達という関係でもない二人が、お互い十年後の約束のことを忘れずに現実を生きてきた。
ただ、日々の生活の中で「絶対なる」が「なりたい」になり、「できるもんならやってみたい」、「こんなもんだろう」とそれぞれ人生の厳しさに直面しながらも、中学校の卒業式に語り合った夢を忘れずに自分がどうなりたいのかを見つけていく。
シン、アヤコの十年間が丁寧に描かれていて読みやすかった。くさいセリフも多かったけれど、青春小説っぽくてよかったと思う。最終的に二人とも夢を叶えてハッピーエンドの話だったらここまで感動できなかったと思うのだが、ありのままの自分をさらけ出して素直に現実を受け止める話だからこそ、素直に共感できたと思う。
記憶の力 ★★★★★
10年後に男女が再会を約束して、という古典的な枠組みを豊島さんらしく料理。その約束の日に向かっての最後の二ヶ月間の二人の日々が描かれています。その二ヶ月に二人がじわじわっと成長していくところが良かったです。主人公の女の子が、自分の作品の締めくくりをきちんと告げられるところ、とか、男の子が奈月さんに怒られて反省するところとか(これ以上はネタばれになるので書けませんが)。記憶と想像力で人と人の距離は埋まっていくはずだ、という彼女の信念がしっかり形になっています。
こんな恋 ★★★★☆
初恋のきらめきを、10年後にこんな形で昇華するのはとてもうらやましい。

恋は、一生のうちに何度もできるものではないと知った最近、この作品みたいに
出会った人を大切にしようと思った。