フェルメールの絵は好きで、日本にくるたびに見に行ってますが、この画集の色合いはかなり実物の雰囲気を伝えているように思います。（少し濃いような気はしますが。）いままで、色味が違っていたり諧調が足らなかったりといった画集が多かったので（高価な画集でさえ）この価格でこの品質は良心的ではないでしょうか。（印刷技術の向上なのか、使っているポジが違うのかわかりませんが・・・）また、拡大図を多く掲載しているのもフェルメールの筆致を間近で見るようで楽しいです。もっとも実物は淡い空気感のような雰囲気がありさらに美しいのですが、印刷物にそこまで望むのは無理だと思います。解説はあまり読んでませんが、同時代の作家の作品が結構載っていて、作品を比較するとフェルメールの抜きん出た凄さがよくわかります。（同時代の風俗画のなんと低俗で、凡庸なことでしょう！）

画集はページを開いて片方に絵画が、もう片方にその絵画の説明がなされているものが多いが、この画集では片方に絵画の全体図と説明が短めに掲載され、空いたもう片方にはその絵画の部分的な拡大図が掲載されている。その為、ページ全体が有効に活用され、良し悪しは人によって判断が異なるが、常の画集にありがちな、「説明文のページが、ほぼ空白」といったことがなくなっている。
真筆かどうか疑わしいものを除いては、なからこの全体図と拡大図とで成立している。
本で絵画を見る事が目的ならば、十分にその役向きの画集であるといえる。

フェルメール以外の画家の作品も掲載されており、その時代や彼の作風を知る助けとなる。
巻末には彼の年表と、集中に使用した語句の解説まであり、なかなか有用な画集である。

ちゃんとフェルメールの絵画が全て載っていた。
画像は全体像といくつかの部分写真で構成されており、筆跡やニスの変色を
肉眼で確認できるほどハイクオリティーな画像で紹介されている。

画集によくある失敗の一つは、高額なくせに画質が劣り、大きさが小さく、
変色（撮影環境的な）が著しいものを買ってしまった時ではないだろうか？
この画集はそんなことはないと思う。
実物の絵画に勝る色彩はないが、「限りなくそれに近いものを体感したい」
という様な意義であればそれなりに捉えている。