陽明学の新生面を開いてくれる本。
★★★★☆
朱子学と並んで、名前はよく聞かれる陽明学。
しかし陽明学は、学びにくいですね。
朱子学のように体系的に説明された本がほとんどありません。
現在手に入りやすいものとしては、安岡正篤氏のもの、
明治書院から出ている漢籍全集、ほかに『王陽明全集』と
いったものもありますが、あまり理解しやすいとは言えません。
しかも著者によれば、安岡氏などは「陽明右派」であり、
陽明学の面白さは、実は山田方谷などの「陽明左派」にあると
いうではありませんか。
こうした理解の仕方、そして「陽明左派」は儒仏道三教の
一致を説いている、というような把握の仕方、陽明学の
新たな発展を予感させる魅力的な著述となっています。
今後の林田陽明学の展開にも、注目したいと思います。
陽明学によって救われた作者が、人生で一番大切なことを書いた本
★★★★★
例えば、『代表的日本人』のような偉人の伝記を読んで感動したとする。では、明日から何をしようかと考えた時に、ギャップが大きくって、どうしたらいいのかわからなくなってしまう。そんな時この本を読めば、明日と言わず、今から何をすべきかわかるかも知れない。
本書では、20年間不敗の雀鬼・桜井章一の生き方が紹介され、なんと、これが陽明学的であるという。その雀鬼に学び、素人ばかりの剣道部を県大会優勝に導く中学校の先生の話や、掃除道の鍵山秀三郎(イエローハット創業者)が、作者の仲介により、新宿歌舞伎町で雀鬼と意気投合する話など、現代の実話が満載。
そして、「なぜ掃除をすると幸せになるのか」とか、我々の中に眠っている能力を引き出す「極意」等が、もったいぶらずに簡単に書いてあって有難い。
その他、インディアンの呪術師、武術の達人から、ゲーテ、そして、「江戸しぐさ」や、映画『シンデレラマン』まで、ありとあらゆるものを、陽明学で解説して切れ味抜群。しかも易しく、読みやすい。それでいて、日本を代表する書店、八重洲ブックセンターの一番すごい書棚「中村天風・安岡正篤コーナー」に、なんと平積みされているという、折り紙つきのレベルの高さ。ご一読を!