クリストファー・ロビンに「世界中でいちばん好きなのは何をしているとき?」と尋ねられたプーは、しばらく考えこんでこう答える。
ぼくが、世界中でいちばん好きなのは、コブタといっしょに、きみに会いにいくことだよ。すると、きみが「何か少しどう?」って言うから、ぼくは「少しなら食べてもかまわない。きみはどうかな、コブタ?」って言うんだ。それで外はいいお天気で、鳥が歌っているの。
70年以上の間に「プーさん」を読んだファンなら納得の答えだろう。プーは「おバカさん」ということになっているけれど、本当はプーのものの見方はいつの世にも通用する深い知恵なのだ。クマのプーさんやコブタやイーヨーたちに、自分の家族と同じような親しみと愛情を抱いている人は少なくないだろう。
この本はA. A. ミルンの名作『Winnie-the-Pooh』(邦題『クマのプーさん』)『The House at Pooh Corner』(邦題『プー横丁にたった家』)が一緒になった美しい完全復刻版で、イラストはミルンの良き相棒アーネスト・H. シェパードによるオリジナルに彩色を施したもの。プーとその仲間に加わって、ゾゾに会ったり、ウサギの家の玄関から体が抜けなくなったプーを助けたり、イーヨーの家を(せっかく造ってあったのを知らずに壊して)建てたり、トラーのはねっかえりをなおすのを手伝ったりしてみるのはいかが?プーさんの冒険を知らずに「子ども時代」を卒業するのはあまりにも寂しい。