女性同士の愛と家族の物語
★★★★☆
台湾出身のトップアイドル、レイニー・ヤンさんの主演映画です。
お相手は香港出身のクールビューティー、イザベラ・リョンさん。
可愛らしさと美しさが好対照の素晴らしい組み合わせですね。
監督はご自身もレズビアンである事を公表なさっているゼロ・チョウさん。
まずトップアイドルがそのアイドル性と人気を保持したまま、しっかりと性的表現を
演じたのが驚きですが、それが女性同士の表現であった事も素晴らしいですね。
日本人と台湾人とのハーフを演じたイザベラさんの
美しくも優し気でどこか怯えた様な表情にも惹き込まれました。
二人の性愛シーンは短いながらも、ただ「振り付けとしての濡れ場」ではなく
きちんと相手の心を、肌を、温もりを求める感じが出ていました。
レイニーさんの太腿の間に顔を埋めるようなセクシャルなカットもあります。
いまだ台湾の方々にとって生々しい記憶であろう1999年の台湾大地震やその孤児たち
障がいを抱えた弟、同居している祖母とのやりとりなど、重層的なテーマが含まれており
恋人二人だけで世界を閉じさせず、映画性の厚みも獲得しています。
過去を忘れてしまった者と、過去を忘れようとする者
そして過去の愛を頼りに生きている者が出会い、再生していく物語です。
レズビアンを特殊で特別なテーマとして描かず
二人の苦悩も喜びも愛もただ等しく人生のそれであり
相手を想い、求め、触れ合いたいという恋愛の本質と
人生の再生を描いた映画だと思います。