秦王のもとに、王を狙った刺客を3人殺したという無名という男が現れた。その功績を讃え、特別に謁見を許された彼は、刺客を殺した経緯を王に語りはじめる。しかし、それは多くの謎を含み、話は二転三転していく…。
『あの子を探して』『初恋が来た道』などのチャン・イーモウ監督が、中国の大スター、ジェット・リー、マギー・チャン、トニー・レオン、チャン・ツィイーを起用して作り上げた歴史ロマン。ワイヤーを多用したアクションシーンは華麗で、まるでバレエを見るようだ。また交錯するいくつかのエピソードの果てに存在する真実、そして衝撃のラストには胸を震わせる感動がある。崇高な精神を持ち、その目的を達成した主人公に敬意さえ抱かせる仕上がりは、さすがチャン・イーモウと言えるだろう。撮影は『ブエノスアイレス』などのクリストファー・ドイル。衣装は『乱』のワダエミが担当。エピソードごとに赤、青、緑と色調を変えたヴィジュアルも一見の価値あり。(斎藤 香)
中国の英雄伝、壮大なパノラマで描く歴史ドラマです。
★★★★☆
芸術的な”静”を重んじた華麗な作品に仕上がっています。
タタターンという流れるような展開の後は、静止の間合いがあるのが特徴だと思います。
リズム的にタターン・タッタ・タッタ・・・(間合い)・・・タッテンテンといった感じでしょうか。
東洋的な空間が広がり、日本でいう歌舞伎的な要素、中国の京劇的な要素が伺えます。
貴賓にあふれ、彩り豊かな美的感覚が豊かに表現されており幻想的な雰囲気を醸し出しています。
その中でも風の流れや大自然と融合した壮大なパノラマが見ものです。
ひとつの書「剣」から悟りを開き真理を会得してしまうところなどは東洋的思想が発するものであり、雄大でファンタジーなロマンを感じるところです。
“感じる”映画で“読み取る”映像
★★★★☆
沢山の方がレビューされているので多くはいらないでしょう。
「英雄」とはなんであろうかを話よりも、観る人の感覚で感じさせる、そんな映画だと考えます。
正義と思うことはその人の立場や環境で左右されてしまい、絶対はあり得ないのだと、だからこそ、自分を律する事を常に、と感じさせられたような気がします。
絵画的で色彩豊かな中国の自然が紡ぎ出す背景は台詞よりも雄弁に、それぞれの役が抱える信条・心情・身上を描き出します。
統一感のある色、舞い散る銀杏、鏡のような湖面。
全てその時に登場する人物の心の奥が深く読み取れるような設定になっているでしょう。
考えないで楽しみたい時にはオススメではありませんが、考える作品もよいものです。
仁・義・信と立場
★★★★★
この映画は今の日本人、特に中小零細企業の経営者は必見です。
我々に足りないものを教えてくれています。
映像に惑わされずに、真意を読み取ってください。
暴君始皇帝と、一人の刺客。
その刺客を自分に置きかえれば、我々が今やるべきことが見えてくるはず。
そこには、仁と義と、それぞれの立場がせめぎ合い、
共に持つ「信」をカタチにするというストーリーです。
と、私は理解しました。
「論語」を体得している経営者の方は是非見ていただき、ご意見を賜りたい。
深い映画です
★★★★★
古代中国の歴史と、そこに息づく『侠』の精神を中心に描かれています。故に、古代中華の思想に詳しくない人が見れば、ただ映像が綺麗なだけなアクション映画に落ちるかもしれません。
色や音や文字や登場人物の名前等、物語の端々に様々なパーツが組み込まれており、短い上映時間ながら、重厚な作品に仕上がっています。
個人的には、今まで見た映画でも1・2を争う名作です。
発想力、色彩、音響効果が豊か。
★★★★★
「英雄」というテーマでこういう映画が作れるということ自体が驚きである。発想力が豊かだ。また衣装などの色彩も効果的で美しい。今までのようにただ剣を合わせるだけの安っぽい音とも違う、剣の震える音、地面に落ちる音などとても細かいところまで凝っている。ジェット・リーはこの映画のためにマトリックスの出演依頼を断わったと聞く。アカデミー賞の外国語映画にノミネートも分かるような作品である。人によってはワイヤーアクションが多すぎるという意見もあろうが、斬新なストーリーと観ていて疲れない色彩・音響効果で目をつぶろう。この映画を観て出番は少ないもののチャン・ツィイーのファンになった。