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ドビュッシー (作曲家・人と作品シリーズ)

価格: ¥1,470
カテゴリ: 単行本
ブランド: 音楽之友社
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この値段でこの本が読めるということに感動しました ★★★★★
本を一冊書くということは、それがどんな本であれ、出るまでに著者は膨大な資料や情報を集め、分析し、書き、そして推敲する。ただ、時として、この内容でこんな値段で良いのかと思うほどの労作が出ることがある。この本はその最たるもので、ドビュッシーの曲が好きだという人から研究者まで必携とためらわずに言える労作で、希有な本である。ドビュッシーの研究は、国内でも国外でも遅々としてはいるが進んでいる。この本はその最前線を体験できる。惜しむらくは、他の作曲家も入っているシリーズで出る中の一冊としてのドビュッシーなので、ページ数や文字組、図像などに制約が多いことである。この体裁で語り尽くせる作曲家もいるが、ドビュッシーの場合は20世紀の作曲家で、かつまた21世紀の現在にあっても相変わらずその作品は豊饒で新しい音楽への示唆に富んでいる。注意深く読んでいると、たぶん原稿段階では二倍か三倍か、あるいはもっとあったようなことがわかる。詰め込みすぎて字が細かくて読みにくいのかと思うがさにあらず、削られすぎてもなおその削られた「不在」の部分が膨張して本のページをはみ出してくるような迫力によって疲れてしまうのだ。もっと高い値段でもよいので、フルボリュームで出していただけないものだろうか。とにかく素敵で素晴らしいドビュッシー評伝である。
読ませる評伝 ★★★★★
評伝なのに、というのも妙だが、この本はとにかく読ませる。
レッスンに遅刻しては走り込んでくる少年時代から始まって、自分を信じて疑わなかった不遜な天才の姿、同時代の芸術家との確執、道ならぬ恋のなりゆきなどが、いきいきと描き出され、リーダビリティに満ちている。
あれほど美しい音楽を生み出したドビュッシーがどうも品性高い人ではなかったらしいとは聞いていたが、ドビュッシーの弱さもまた魅力の一つとして読むことができる。この評伝が彼の音楽を深く愛し理解している人の手になるからか。
ドビュッシーの作品について、さらりと加えられる解説や成り立ちなどにも、読み手はきっと頭も心も揺すぶられるはずだ。この評伝を読了後、私は久々に「牧神の午後」を引っぱりだした。ただ単純に好きだった曲を、このように優れた導き手に導かれて聞き直す喜びは無上だった。