選手それぞれの心の葛藤を丁寧に描いた第3巻
★★★★★
前巻に続き、対崎玉戦がいよいよ集結します。いよいよ結果が見えてきた終盤、ベンチで涙目の後輩達を温かく励ます崎玉キャップテ
ン小山君の一言のシーンはアニメで見ると感動が増しますね。戦力を強化する纏め役としての能力は高くはなくともこれだけ後輩皆に
慕われた小山君、試合後、「もっと真面目に野球をやりたい!」と決意を新たにする佐倉君等、「ああ、このチームは来年以降伸びてい
くだろうな」という希望をもたせてくれる清々しい演出でした。
西浦ナイン側では3回戦の終盤、田島君との能力差にとことん悩みながら自分なりの解決策を見出す花井君のモノローグ部分は必見。
悩む彼に敢えて横やりを入れず黙って見守るモモカンのモノローグに、選手を育てていこうとする愛情を感じました。
一方バッテリーとしての距離感のもどかしさに悩む阿部、阿部の不在を仮定して不安を抱く三橋等、3巻では各選手のモノローグが多く
、それぞれ自分の前に横たわる問題を解決しながら選手同士競って伸びていこうとする過程を丁寧にアニメ化しているのでお見逃しなく。
他にも3回戦での田島のナイス・プレイに皆が憧れの眼差しを向けるシーン、4回戦開幕の直前、超ミニスカートのチア・ガール2人に顔
を真っ赤にする浜ちゃん応援団等、細かいところにアニメーションならではの醍醐味を感じられ、既に原作を読んでいても十分楽しめます。
一方で着々と西浦チームの研究を進める呂佳さんのぞくっとする程の冷静さは、見てて恐ろしい程ですね。次巻以降その布石が5回戦
で効いて来るのですが…
DJCD「西浦高校放送室」は5・6回目を収録。今回のゲストは泉君役の声優・福山潤さん。前回の田島役の下野さんにも感じたのです
が、福山さんの冷静な話し振りを聴いていると(福山さんに代永さんいじられまくってますが)自然と泉の落ち着いたキャラクターと共通す
るものを感じるところが面白い。おお振りの各キャラクターは結構各声優さんが比較的地に近い自然体で演じることのできる作品なのか
なあ、と感じたりもしました。