嫌いだった人に対して、なにかあるキッカケによって、正反対の好きという気持ちになるということは、たまにあります。
そして、その相手が、同じ女性だったら。
さらに、いわゆる学園ものなどと違って、生活、仕事と、手かせ足かせのある状況で、幸せな生活を営むために、二人は進んでいく、そんなお話です。
百合好きなら確実に購入すべき作品ですが、強いて云えば、仕事を持っている大人の方によりお薦めでしょうか？

ホテイさんはある大企業の支社に勤める一般職の腰掛けOL。
エビスさんは同い年だが、本社勤務の幹部コースの総合職。

そのエビスさんが何故か幹部コースをやめて一般職になり、ホテイさんの居る支社に転勤してきた。
エビスさんは、仕事は出来るけど「私は絶対に残業をしません」と宣言したため、ホテイさんをはじめとして他のOLさんたちから嫌がらせを受ける。
だがエビスさんは、お姉さんの子供のハナちゃんを引き取って育てていた。
残業をしないのは保育園にハナちゃんを迎えに行くため。総合職をあきらめたのもハナちゃんのため。
ホテイさんは偶然？それを知ってしまう。しかもエビスさんは「プライベートのことですから」と会社では事情を説明しようとしない。

ホテイさんは唯一事情を知ってしまった者として、エビスさんの代わりにハナちゃんを迎えに行くなど、徐々に力を貸すことに。
しかも（ホテイさんが勝手に死んだと思っていた）エビスさんのお姉さんが登場。どうやら二人の間には何やら確執があるらしく・・・

ホテイさんはエビスさんを「仕事は出来るけど可愛げがない」と嫌っていた。
後にエビスさんも告白します。「ホテイさんの事を、『仕事は出来ないけど可愛いから失敗しても許される』と思っている。その自分にはない所がうらやましくて嫌がらせをしてしまった」と。
まるで正反対の二人が、徐々に惹かれ合ってゆく様子が丁寧に描写されていると思います。

ごく普通のＯＬのヒロインが、同僚のエリートＯＬに惹かれていく百合色ストーリー。
最初は反発しつつも、自分と正反対な彼女に少しずつ惹かれていくヒロインがとても可愛い！
この作者は心理描写はいつも巧みです。
そして女の子がとっても可愛い。
百合アンソロジー「つぼみ」でも巻頭の方に掲載されていたので人気があったのでは？
読んでいて彼女たちがいとおしく、幸せになってほしいと願ってしまう。
そんな素敵な作品です。

最近読んだ百合漫画の中で最高ランクの面白さです。
個人的には、酔って寝てしまったエビスさんの胸元の微妙な位置(寸止め?)に
ホテイさんが手を突っ込んでドキドキしているシーンに一番萌えました。

「寸止め」「ほんのり」といった百合コンセプトがあったようですが…
ええ、そこが実に良かったのも事実ですが……

単行本だけの描きおろしマンガでは、ちゅーぐらいしてくれよ!!(T T)
うん。それでも星５つです。

最初に言っておくと、作者は百合モノとして、この作品を書いています。

私は、連載されていた「つぼみ」という雑誌は知らず、きづき先生のファンとして買ったので、最後になるまで気付かなかったです。

おそらく、最初から百合モノとして読んだほうが「んん?なんだなんだ?」という疑問が無く、すんなり読めると思います。
しかし、百合モノではあるものの、編集からの要望として、性的にストレートな描写は無し、というものなので、誰にでも読めると思います。

ホテイさんとエビスさんが互いに惹かれていく様子がこの作品の読みどころなんだと思います。

個人的には、ホテイさんがエビスさんに惹かれていく様子は作者の無理矢理感があったように感じました。

ラストはまさかの共同生活…是非、ご覧ください。