掲載誌が「ジュールすてきな主婦たち」だったため、ずっと買おうか悩んでいました。主婦向けということなので、名香智子作品が好きな私でも馴染めないのではないか、と葛藤でした。
試しに１巻を買ってみたら、「あぁ、名香智子だ！」という感じの作品で、すぐに全巻揃えて一気読みをしてしまいました。

この作品は主人公の未亡人蘭子(お金持ちで美人)と、義弟の斎(かっこよくて、お金持ち)、蘭子の息子の十蘭(物静かなイケメン)・娘の蘭奈(可愛い)、義母の家族を中心に、物語が進んでいきます。
「ミステリー」「お金持ちの交流」「娘の恋」「息子の恋」などなど、本当になんでもありです。

出てくるキャラクターたちも様々で、毎回中身が濃くて、何度も読み返してしまう話ばかりです。
まさしく、名香智子、と表現できる作品だと思います。

お金持ちを題材にしていても、掲載誌を考慮してか、「お金持ちだけど庶民感覚があるのよ」てきな、一般の生活と交わっていて地に足がついた内容になっています。同じお金持ちでも、アンリシリーズとは、そこが違っています。
庶民的な感じも取り入れているから、馴染みやすいというか、ケラケラと笑える内容だと思います。

主婦の方々に限らず、すべての世代の方に楽しんでいただけると思います。

　月光寺蘭子は７年前に夫を亡くした未亡人。高校生の息子十蘭、中学生の娘蘭奈と暮らしている。夫は光グループという財閥の総裁で、夫の死後は義弟の斎が会社を受け継いでいるが、総帥は蘭子である。斎は義姉の蘭子に惹かれているのだが、当の蘭子は若い恋人（画家の卵）を連れ歩いき、自由気ままな生活を送っている。

　ある日、蘭奈のピアノの先生がアパートの風呂で着衣のままで死亡しているのを、蘭奈たちが発見する。彼女は失恋したばかりで、自殺と事故の可能性が。しかし、蘭奈たちがアパートに入る直前に、先生の元恋人がアパートを出て行くところを目撃してしまう。その男は作家で、最近やっと売れ始め、売れたことで今まで影で支えてきた恋人を捨て、アイドルと付き合っていたのだ。殺人か？と思われたものの、結局は事故だった。だが、その事故の遠因は失恋であり、蘭奈はその男を許せなかった。
　そこで、蘭奈は母親、兄、叔父の力を総動員して、作家をいたぶっていくのだが。。。このいたぶりかたが、明るい。気持ちがいい。こいうことにお金を使うのって楽しいかも。