残念なのは、ボリュームが少なめなこと。そのため、解説が不十分である場合が生じる。(例えば、Thank you in advance.という表現。人に何かして欲しいときに使用する語だが、本書では、日本語では「よろしくお願いします。」に解釈されるとだけしか説明されていない。しかし、実際は、依頼と同時に予めお礼を告げてしまうわけなので、依頼というより命令に近く、押し付け的なニュアンスを含んでいることの説明を忘れてはならない。すなわち、読み手の気持ちに配慮していない表現なので、実際にはうかつに使用されていない表現でもある。)用語も増やし、解説もより詳説すると◎。
それから、ABC順に羅列されているが、ボリュームが少ないのであまり意味がないこと。ABC順ではなく、シーン別にまとめられていると良いと思う。
場合、そこでスラング的に使われている英語を理解するのにも良い。
この本は、辞書形式になっているのですが、用語の説明が、辞書的な説明だけではなく、その用語にまつわるウンチクにもなっているので、著者としては、辞書としての用途と、通読できる本としての用途の両方を意識していたのではないかと思います。
ただ、帯に「怪しい業界用語満載」とあるわりには、そこらの辞書にもちゃんと出てるような用語が多く、また、説明中のウンチクも、私のような古狸にとっては、すでに知っていることが多いので、あまり全体を通読する気にはなれませんでした。
かと言って、辞書代わりになるほどの収録語数はないし、収録語の選択もわりと!恣意的なので、「この単語ならあの本に出てるだろう」的な使い方もしにくいと思います。
したがって、個人的には、もっと本当のジャーゴンだけにしぼって、その分薄くて安い本にしてくれたほうが有難かった、という感じです。でも、業界に入りたてで英文の資料と格闘しているような人が通読するには、いい本なんじゃないでしょうか。
IT関連の翻訳をする人などにはとても役に立つのでは。
特にUSアメリカ人は、本書で扱っている単語の様な感覚的に新しい言い回しを好んで使う傾向があるので、コンピュータ業界だけに限らず多くのUSの人が今後これらの(ような)単語を使ってくると思われる。つまり最低限、本書くらいは読んでいないと新語を乱発する英語圏の人々とは意味が通じなくなる場合が予想されるのだ。
IT業界人なら「ああ、もっと早くこの本があれば!」と思って読んでいる人も多いのではないか。
そして、同じような理由で今後、生の英会話を必要とする中級以上の英語学習者も、「新しい英単語ってこうやって生まれて来るんだ」という発見も含めて、本書はお勧めである。
何より読んでいて面白いのである。